Top Page GALLERY 2023


【1月の表紙】

2004・01・03 大村線 千綿−松原 (PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1))
年末年始の過ごし方も年とともに変わってきた。コロナ禍が始まるまでは海外鉄ちゃんのツアーで新疆ウイグル自治区に渡航し、闇夜の砂漠に炎を吐く建設型蒸機を追っていた。10年ほど前は、毎年のように身内の面々と宗谷本線でラッセル合宿。雪にまみれてDEを追い、初詣は稚内の北門神社で利尻の御開帳を祈願した。そして、20年前はブルトレを追って九州へ。到着の遅い「さくら」や「はやぶさ」、「彗星」は1年で最も陽の低い年末年始が絶好の撮影シーズンで、多良−里(信)の海バック、長洲−大野下のストレート、高鍋の鉄橋などでローズピンクに色褪せたナナロクを待ち構えた。

この日は、冬型の影響を受けやすい北九州も晴れエリアになるとのことで宮崎方面から必死に北上。日の出直後の現川コンクリ橋で「あかつき」を撮り、正午に通過する「さくら」までのインターバルで大村線にやって来た。3年前から筑豊の顔だったキハ66・67が長崎に転属し、大村湾沿いに117系のような美しいサイドビューを見せている。ミレニアム記念の国鉄色などという贅沢は言わないが、せめて青一色のシーサイドライナー色でない編成に来て欲しい。千綿−松原の定番アングルで待つことしばし、眼下に現れたのは白に青帯の4両編成!SNSも未発達だった頃は、こんな被写体との邂逅で1年の運を占ったものだった。



【2月の表紙】

2004・02・10 米坂線 羽前沼沢−伊佐領 (NikonF4s AFNikkor80-200oF2.8ED RVP100)
今から20年前の2月、初めて“特雪”と対峙した。舞台は米坂線。越後金丸付近から今泉まで、歩むような速度で投雪しながら進むDD14を必死に追い掛けた。初めは曇天だった天候も、宇津峠を過ぎることから晴れ間が出てきた。羽前沼沢の手前で、一面のクリスマスツリーをバックに白魔に覆われた築堤を狙う。雪壁に登って三脚を突き刺し、カメラをセットして間もなく、山間にバリバリとキャタピラ音が轟いてくると、高々と雪塊を投げ上げて朱い冬神が登場。後押しがシルフィード機のDEだっただけに、手前方向への投雪がかえって功を奏した。

翻って今日、今や特雪どころか雪レも片手で数えられるほど。除雪車の減少と入れ替わるように、少々の雪でも運休するのが当たり前になった。鉄道は、ただ無難に人や物を運べればそれでよいのか。安全は第一であるとともに大前提。その上で厳しい条件でも輸送を確保することに存在意義があるのではなかったか。そのために奮闘する鉄道マンの姿に我々は胸を熱くしていたはずである。しかし、何事もリスク回避の令和の世。事が起これば外野が無責任に声を上げ、それを拾ってマスコミがコタツ記事を量産する。人手不足に株価以外は経済もサッパリの衰退国家日本では、もはやこうした“心意気”を目にすることは難しいのかも知れない。



【3月の表紙】

2023・03・28 伯備線 備中川面−木野山 (NikonD5 AF-SNikkor70-200oF2.8E FL ISO200)
2020年代に入ってからというもの、とみに桜の開花時期が早まった気がする。ちょっと前までは3月末に九州で満開、桜前線は4月いっぱいかけて本州を縦断し、GWに弘前城址が見頃を迎えるというパターンだったが、ここ数年は太平洋岸一帯で3月末に見頃を迎えてから各地で同時多発的に満開が報告され、北東北ですら4月後半に花見シーズンを迎えるような状況である。昨年も3月下旬の段階で伯備沿線の開花の知らせが入った。これはじっとしてはいられない!道南でキハ183系のラストランを撮ってから画像処理をする間もなく、年度末の有給を突っ込んで岡山入りすると、備中川面の一本桜は見事満開で咲き誇っていた。

早朝から川霧に包まれていた撮影地も、8時を過ぎると青空が広がってきた。鶯がさえずる中、間もなく国鉄色「やくも」と並ぶもう一つの主役がやって来る。踏切が鳴り、鉄橋に重低音を響かせて現れたのは、3082レの先頭に立つ原色のEF64-1000!絵に描いたような最高条件に、思わずレリーズを握る手に力が入った。近年、山岳路線の雄ロクヨンもかなり活躍の場が狭まってきた。次改正では、中央西線は2往復のうち1往復がカマ置換え、伯備もそう長くはないという。残り少ない春の情景と山男の組み合わせを今年も狙ってみたいものである。



【4月の表紙】

2022・04・03 山陰本線 大岩−岩美 (NikonD850 AF-SNikkor300oF2.8VR ISO200)
当初、2月に暖かい日が続いたことから早い早いと言われた桜の開花も、蓋を開ければ3月の冷え込みの影響で遅れに遅れて結局一昔前の例年通りの時期になりそうな雰囲気。職業がら年度を越すと急に忙しくなるため、今年の桜ツアーには黄色信号が灯ることになった。だが、同じく4月開花だった2年前は、日曜ピンポイントで懸案の課題だった大岩の桜に出掛けていた。京都駅で関西-D.W先輩と合流して深夜の9号線をのんびり走り、夜明けと同時に駅横の桜並木に到着。予想通り満開間近の花道が我々を出迎えてくれた。

定番構図でサイドに陽が回るのは8時を過ぎてから。日の出直後の6時台の列車では、光線はほぼ正面からである。ならばと線路の北側から300oで正面がちに狙うことにした。キハ126の進出著しい中、遠方のホームに無事にタラコ色が現われ安心する。短い停車の後、コマツ製の独特のエンジンが唸りを上げて列車が発車。朝日を浴びて花道を加速する姿をファインダーに捉え、動体予測で切り取った。この3月のダイヤ改正と根室本線富良野−新得間の廃止で、北海道ではヨンマルが大激減。これからは山陰をはじめ中国地方のキハ40・47に人気が集まりそうだ。魔改造済みとはいえ、四季折々の景色の中を行く朱色5号に注目していきたい。



【5月の表紙】

2013・05・18 信越本線 米山−笠島 (NikonD800 AF-SNikkor70-200oF2.8EDVRU ISO200)
今から10年程前、上沼垂には485系がまだ健在で、「北越」「いなほ」などの任に就き、富山から秋田まで日本海縦貫線を文字通り貫く活躍を見せていた。鉄的にも「いなほ」ならば笹川流れ、「北越」ならば鯨波など日本海と絡められる撮影名所に恵まれ、我々は国鉄色の運用と天気予報を睨めっこしながら週末の予定を考えていたものだった。この日はK1編成が「北越1号」に入るということで米山俯瞰に出撃。朝一から海辺にせり出した岬の上に三脚を立てた。水蒸気のせいか遠景の海面はややぼやけているが、背後に遥か妙高の銀嶺が浮かび上がる好条件。前走りの普電には湘南色の115系も入っていて、初夏の名舞台で国鉄色を堪能したのだった。

あれから幾星霜、もはや本線上に純正485系の姿はなく、日本海縦貫線すら北陸新幹線の延伸によって寸断されてしまった。この春はヨンパーゴどころかサンダーバードの引退で北陸本線が賑わったというし、国鉄特急色といえば「やくも」狙いで伯備線が阿鼻叫喚の大パニックだという。バリ晴れの日曜日に信越海線を代表する有名なこの俯瞰ですら身内のみだったあの頃と比べると、隔世の感ありと言わざるを得ない。さて、日も長くなり緑も瑞々しいこれからの季節、被写体はすっかり乏しくなったが、今年はどのような鉄道情景を追い求めることになるのだろう。




【6月の表紙】

2023・06・27 小湊鐡道 上総大久保−月崎 (NikonD800 AF-SNikkor300oF2.8VR ISO800)
ゴールデンウィーク以降、まるで好天に恵まれないままはや6月。今年は梅雨入りも早いようで、例年ならカラッとした晴れが望めるこの時期も関東は雨また雨のダメ予報である。お陰で、381系「やくも」の終焉間近で連日鉄ちゃん諸氏で大賑わいという伯備線のニュースが流れて来るが、すっかりフットワークも重くなってしまい、新緑も田んぼ水鏡も諦めの境地。逆に梅雨なら梅雨らしく、晴れの女神に見放されているのを逆手にとって、雨の情景でも狙ってみようかと開き直っている今日この頃である。

振り返ると、実は昨年も似たような傾向だった。手元のHDDを漁っても、連休明けからはロクな画像が出てこない。そのまま梅雨時に入り、前半は箱根登山、後半は小湊で紫陽花を絡めた写真を撮っていた。この日はタラコ2連が運用に入っていることを知り、夕方のスジを狙ってのんびりと出撃。どうせ天気が悪いなら、変に明るい時間よりも薄暮の頃の方が雰囲気が出るだろう。狙いは上総大久保と月崎の間の切通し区間。近年線路脇が整備されて、紫陽花がきれいに植えられていたはずである。見頃の一株をみつけて、もはや濡れてもOKなD800をセッティング。往路を列車ピンで押さえ、18時台の復路を花ピンで狙う。間もなくタイフォン一声、鮮やかな青い花の脇を朱色5号の列車が通り過ぎた。



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