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【1月の表紙】

2018・01・14 小田急小田原線 新松田−開成 (NikonD5 AF-SNikkor70-200oF2.8VRU ISO200)
「一富士、二鷹、三茄子」は、初夢で見ると縁起の良いものトップ3を詠った江戸の諺だが、鉄ちゃん的に鉄初めで撮れると嬉しいのは何といっても秀峰富士の雪化粧。とはいえ、1年で最も日の出の遅いこの時期は、富士山がスッキリ見える朝方にきれいに影が抜ける撮影地はなかなかない。そんな中、開けた場所で早朝から朝日が当たる貴重な場所が小田急の酒匂川橋梁だった。当時恒例だった中国三道嶺ツアーから帰国した翌週末、縁起ものの鉄道情景を狙いにこの場所へ。LSEの引退が迫った時期だけあって、身内を含めて10名以上が集結した。先行電車を見送ること数本、満を持してロマンスカラーの連接特急が檜舞台に登場。過去に幾度か撮ってはいるが、銀嶺クッキリの最高条件にめでたい気持ちでシャッタを押したのだった。

そんなロマンスカーも姿を消してはや7年半。JR線上だけでなく、私鉄でも撮りたい被写体は僅かになってきた。LSEの後釜?として追い掛けている東武スペーシアも後継車が登場して先行きは予断を許さないし、箱根の古豪モハ1・モハ2は昨秋引退予告が発表された。それでも全国に点在する古の名車たちを求めて、今年も細々と旅を続けていきたい。公私ともに多忙を極めそうな2026年だが、1枚でも多く納得のいくカットが撮れるよう自宅のバルコニーから見える富士山に願掛けでもしてみるとしよう。



【2月の表紙】

2004・02・04 石北本線 生田原−常紋(信) (NikonF4s AFNikkor300oF4ED RVP100)
生田原から林道に入り、峠を目指す。だが、期待に反して除雪されていたのは途中の釣り堀まで。ここから146kpまでは雪中行軍で約2kmの道のり。この時間からハスキーにペンタフルセットの銀箱では、列車通過までに辿り着けるかいささか怪しかった。ならば今日は直線区間をアップで狙おう。牧場脇の踏切に本命ペンタ300とサブ機のF4s+サンヨンを構える。待つこと30分余り、鋭い朝の光線が白い道床を照らし始めた頃、遠方からエンジンの唸りが聞こえてきた。猛烈なスピードで峠へのアプローチに挑むダブルヘッダーのDDがオレンジの光線に鈍く輝く!望外の原色重連にレリーズを持つ手が思わず震えた。

学生時代以来、2月といえば白銀の世界に魅惑の鉄道情景を追う季節だった。冬枯れ色の関東を飛び出して北海道・東北から信越地方へ、夢中になってシュプールを描く二条のレールに国鉄色の車両たちを追い求めた。だが、21世紀も四分の一が過ぎた今日、全国を見渡してもソレルにかんじきの重装備でアタックするほどの被写体が見つからない。仕方なく、冬型で青空安定の関東平野で細々と私鉄の古豪にカメラを向ける日々。確かにシャッターを切ればそれなりに楽しくはあるのだが、厄介な天候と苦難の道程の乗り越えて大物を仕留めた時の手が震えるような快感は、もう忘れるほど味わっていない。



【3月の表紙】

2024・03・22 小湊鐡道 養老渓谷−上総大久保 (NikonZ8 NikkorZ70-200mmF2.8VR S ISO200)
近年温暖化が進んだせいか2月末にはすっかり春の陽気が漂うようになってきたが、この季節は極上の冬光線シーズンが終わったうえに草木は全て枯れ木色という非常に絵にしづらい時期でもある。ちょっと前なら南房総や伊豆に出掛ければ、一足早い春の花々と国鉄特急型を合わせて撮れたものだが、それももはや過去の話。近年だと3月に入り、小湊の沿線に菜の花が咲き始めてようやく春の鉄ちゃん戦線が幕を開けるようになった。この日は、石神の菜の花が満開を迎えたと聞き、急行運用後のタラコ2連を狙いに沿線に車を走らせた。

養老渓谷にほど近い石神地区は、地元の協力で菜の花畑が維持されている人気のスポット。ただ、角度的に鉄ちゃん好みの光線で撮るのが難しく、午後の運行だと面かサイドかどちらかが陰ることになる。定石では見える面積の広い側面が黒く潰れるのは良しとされないが、ここは敢えて黄色い海原を泳ぐヨンマルの顔を強調すべく、サイド潰れの半両切り取りでいく。間もなく養老渓谷発車のタイフォンが響いた。聞き慣れたエンジン音とともにキハ40が通過。ファインダーには狙い通りの絵が描かれた。だがここ数年、石神地区では獣害で花芽が食い荒らされ、花が咲かなくなっていると聞く。気軽に行ける桃源郷の1年でも早い復活を願ってやまない。



【4月の表紙】

2021・04・18 箱根登山鉄道 大平台−出山(信) (NikonD850 AF-SNikkor300mmF2.8VR×1.2クロップ ISO200)
ここ数年、各地で被写体として向き合ってきた最後の愛すべき車両たちが次々と鬼籍に入っている。JR線上の国鉄型はすでに絶滅寸前、私鉄ですら幼少期から見慣れてきた名優たちは数えるほどになった。そんな中、昨秋入ってきたのが、箱根登山の旧型車があと2年で引退するという報道だった。かまぼこ屋根に一灯ライト、シル・ヘッダー付きの車体に特殊装備満載の武骨なスタイルで長きにわたり天下の険に挑み続けてきた古武士にも、いよいよ別れの時が迫ってきたようだ。

コロナ禍の頃、遠出が憚られる中で比較的近場の箱根登山鉄道にはよく出掛けていた。観光客が激減していることもあり、道中はいたってスムーズ。自宅から1時間半もあれば撮影地の大平台に到着できた。先週までは3連だった旧型編成が、今日は108を落として2連で運転とのこと。普段なかなか見られないシールドビームの104号の前パン姿が拝めるということである。朝から各所を回って午後のメインは大平台入線。入場券を購入し、ホーム端に300oをセットする。15時過ぎ、眩い新緑に包まれた急勾配を赤・青の2連が車輪を軋ませながらゆっくり登って来た。これはこれで良かったが、一昨年には106号が標準塗装に戻されたというし、近いうちに今度はオール赤の3連でこんなカットを撮ってみたいものである。



【5月の表紙】

2023・05・16 中央西線 奈良井−藪原 (NikonZ7U AF-SNikkor70-200oF2.8E FL ISO200)
国鉄型電機の終焉が囁かれるなか、中央西線にロクヨン牽引のスジが1本追加された。午後の絶好の時間帯に松本から名古屋に向かう8872レ。陽の長くなったこの時期ならいつもの8084レよりもさらにオイシイ被写体になるに違いない。そんな色気を出して信州に車を走らせた。とはいえ午前中が暇なので、まずは川中島で篠ノ井線のロクヨン貨物を1本撮ってから聖高原を越えて松本へ。ここから19号を流す。ちょうど西線北部は新緑がピークを迎え、淡い緑の山々が目に眩しい。真昼の8084レはアップで撮っても光線が堅いだろうと、奈良井宿の俯瞰にやって来た。今日は2両目が更新色だから、それを誤魔化すにもちょうど良いだろう。

紅葉の季節にばかり訪れていたので、山懐の宿場町が緑に萌えている景色が新鮮に見えた。12時ちょうど、眼下に原色先頭のロクヨン重連が登場。モーター音を響かせて木曽谷を颯爽と駆け抜けて行った。次は本命の8872レである。目をつけていた鳥居峠のオーバークロスに移動して2時間ほど待機した。雲一つない青空に淡い緑が映えて条件は最高!勝利は確定した…と驕ったのが間違いだったようである。通過間近にバタバタと同業者が集まると、誰かそういう星回りの人物がいたのだろう、見る間に雲が流れてきて画面の中が暗転。まさかの逆転負けで原色重連をファインダー見る鉄することになった。以後、この場所をリベンジすることなくカマが置き換えられた。あれから3年、ようやく心の傷が癒えてこの日の写真をアップすることができた次第である。




【6月の表紙】

2000・06・07 関西本線 笠置−大河原 (OLYMPUSOMー1 ZUIKO135oF2.8 E100VS)
学生時代に京都に住んでいた頃、初夏の風物詩としてよく撮りに行っていたのが関西本線の修学旅行臨だった。キハ58・28の6連が神戸方面の子ども達を乗せて伊勢・鳥羽に向かう。木津川沿いの渓谷や現役蒸機の頃からのお立ち台加太の大築堤を行く姿は、急行列車の全盛期を知らぬ私にとって非常に魅力的な被写体だった。この日は人生で初めてレンタカーを借り、3161レを撮りに紀勢本線まで初陣に出掛けていた。朝は良かったが午後には雲が広がりすっかり曇天に。帰路に関西本線沿いを流していると、そろそろ修旅臨の時刻である。この天気なら真面目に撮っても仕方ない。河原で釣り糸を垂れる太公望をあしらって急行色の通過を待った。

あれから四半世紀余り、今ではこちらが修学旅行の引率をする立場になって、幾度か生徒を京都・奈良、沖縄や北海道に連れて行った。だが、交通手段はいつも新幹線か飛行機とバス(一度北海道で「北斗」に乗ったが)。当たり前だが、「修学旅行」幕を引っ提げた国鉄型気動車にお世話になる機会はついぞなかった。それはまぁ、この令和のご時世に数百人規模の生徒を直角クロスシートに数時間も押し込めたら、いろいろな面で大変なことになることは想像に難くない(汗)。それを思うと、あの頃の先生達には頭が下がる思いである。



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