2025.08.13 |
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2010.08.13 宿戸−陸中八木 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP50(+1)
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今から20年ほど前、夏の行先には岩手を選ぶことが多かった。2001年に盛岡のキハが数編成国鉄色に塗り戻され、花輪線や山田線、岩泉線にキハ52や58を追った。やや遅れて八戸線のキハ40・48にもタラコに復活した編成が登場し、当時カウントダウンに入っていた腕木式信号機と絡めて海沿いのローカル線にも足を運んだ。間に合わなかったはずの国鉄末期のローカル線の姿を、当時最高画質だったバケペンで絵にできるという期待感を前に、ボロ軽自動車でのロングドライブなど苦労でも何でもなかった。
ゴーニーやゴッパ・ニッパが引退し、侍浜や陸中八木から腕木が消えても、なお数年、三陸海岸にはタラコのヨンマルが残っていた。この頃には秋田地区にもタラコ色が出現し、ロケーションに勝る五能線に人気の面では敵わなくなっていたが、それでも八戸線のキハ40系列は完全非冷房のオリジナルに近い姿を保っているのが魅力的だった。この日は、前々からアタックするも極め切れていなかった陸中八木のSカーブでようやくタラコ3連を仕留めるチャンスが到来!終夜運転で沿線に入り、本番前の前座として田んぼのきれいな宿戸寄りのストレートで先行のキハを待った。 国鉄色の影に隠れて目立たなくなってしまっていたが、岩手・青森地区の標準色は白地に赤帯を巻いた盛岡色。九州の白地に青帯や四国コーポレートカラーの例を引くまでもなく、JR初期に登場した地域オリジナルの塗色は、変に奇をてらわずに素直なデザインに好感が持てた。青々とした稲穂が揺れる中、海沿いの防風林(防霧林?)を背に駆けるキハを迎え撃つ。撮った時はさして思い入れをもってシャッターを切ったわけではないが、いずこも同じステンレスハイブリッドキハが闊歩するようになった現在、ありのままのローカル線の姿を手抜きせず記録しておいて本当に良かったと思う。 |