| 2025.11.23 |
![]()
2020.11.23 塩郷−地名 NikonD800 AF-SNikkor300oF2.8VR ISO200
|
|
5年前の秋、コロナもひと頃よりは落ち着いたものの、まだまだ無遠慮に全国を飛び回るのは憚られ、とりあえず近場の箱根登山鉄道や大井川鐡道を繰り返し攻めていた。温暖で常緑樹が多く秋の彩に乏しいと思っていた川根路も、銀杏やススキなど沿線をつぶさに探すと“小さな秋”はそこここに転がっていて、存外撮り応えがあることに驚いたものだった。この日はマル普マークのズームカーが日中のおいしい運用に入った。午後一の上りを笹間渡の銀杏バックという本命アングルで撮る前に、往路の下り列車を撮るべく塩郷の川沿い区間に転戦した。
大井川の広い河原を横目に国道と並走して走るこの区間、普通に撮るには簡単そうで意外と雰囲気を出すのが難しいのだが、晩秋のこの季節は逆光に輝くススキがいつもとはまるで違う光景を作り出していた。いつもは順光が好みの私も、こんな景色を見てしまうと逆光で勝負せざるを得ない。D800にサンニッパを装着し、三脚のエレベーターを上げ下げしながら手前の穂をぼかしつつギリギリ車両に干渉しない位置で構図をセット。間もなくキラキラ光る花道を、湘南フェイスのズームカーがゆっくりと駆け上がってきた。 この川沿いの区間が不通になってから3年が経つ。ズームカーも2本のうち四角看板の21003編成が千頭に閉じ込められてしまい、マル普の21001編成も長く検査入場していた。最近ようやく21001が本線復帰したようだが、川根温泉笹間渡折り返しではやはりアングル的に物足りない。社長の奮闘もあるようだし、少しでも早い全線復旧を願って、また晩秋の川根路を訪れてみたいものである。 |