撮 影 機 材 紹 介 〜Nikonシステム〜


Nikon F5  2006年春から我が 35o判機材群の旗艦に君臨し続ける、ニコン最強の銀塩カメラ。EOSシリーズが席巻していたAF市場にアトランタ五輪を機に殴 り込みを掛け、キヤノンを震え上がらせた諸性能は今も色褪せることはない。 バッテリーケース一体型の大型ボディに交換式ファインダーを備えた威 容は、現行のF6を凌ぐ存在感を漂わせている。
 そんなF5だからこそ、私がニコンシステムを導入した 90年代末には中古でも20万円近い高嶺の花だった。ところが、デジタル化の波というのは恐ろし い。D2シリーズが人気を博していた5年前、ふと中古カメラ店を覗くと、F5極上品に6万5千円の値札が付いていた。もう迷うことはない。数日後、 ノートPCを購入した際に 10万円キャッシュバックキャンペーンが大当たりしたのをよいことに、すぐにコイツを手に入れてしまったのだった。
 初めは使い慣れたF4に比べて暗めのファインダーに一抹の不安も感じないではなかったが、いざ実戦に投入してみるとそのスピードとキレは圧倒 的。瞬く間に主力機の座を奪い取り、今に至る。その間にレンズも初期のAFからAF-Sへとラインナップを増やしていったが、どのレンズでも最高の パフォーマンスを発揮するのはさすがの一言。フィルムある限り「第5のF」は不滅である。
Nikon F4s  1999年秋、私が初めて導入した“Nikon”がこの F4sである。当時は中学時代から使っていたオリンパスOM−1に限界を感じ(いいカメラなんだけどね)、 高速連写・視野率100% ファインダー・大口径レンズを条件に新システムへの移行を検討していた。中古カメラ店に幾度も足を運んで熟考。ニコン or キャ ノンで迷った末MF・AF両レンズを共用できるニコンを選び、F3 or F4の選択で何が決め手だったかは忘れたがF4に軍配を上げた。お値段12万数千 円也。 2ヶ月分のバイト代がキレイに吹っ飛んだ。お陰でしばらくはレンズなし。翌月ようやく中古で50oを買って現場に投入できるようになった。
 実際に使用すると、AFは動きが鈍いもののファインダーが明るくて見やすく「MFで使うなら最高のカメラ」との評は間違っていなかったと実感した。 スクリーンにスプリット式を入れ、その冬に80-200oF2.8のズームを入手するともう鬼に金棒。保存性抜群のコダクロームを詰めて、中判メインカメラだった マミヤ645と2台切り体制を敷き、北海道から九州、果ては中国内蒙古自治区まで各地を共に行脚した。コイツで極めた激Xカットは数知れず。F5導入以降 は控えの座に下がったが、緊急事態の際には代打の切り札として今も期待の高い1台である。
Nikon F3Limited  35o判メイン機材のデジ転換を検討していた2010年春、D3s導入を目論んで予算を組み始めた私に悪魔の囁きが聞こえてきた。「そんなにあっさり魂を売 っていいのか? 汝が心から欲しているのは、かつて憧れたまま買えなかったあのカメラではないのか?」。 う〜ん…確かにヤフオク市場をチェックすると、 上玉のF3が頻繁に出回っている。気になってくると欲しくなるのが人の常。気付けば「D3よりF3」を合言葉にネットを徘徊するようになっていた(汗)。
 一言でF3と言っても、20年以上に渡って生産された機種だけあってバリエーションも多い。その中で特に惹かれたのがプレス仕様のF3Pもしくは Limited。 普通のF3と違ってホットシューがきちんとペンタ部についているのがポイントである。ストロボは基本使わないが、水準器はちゃんと載せたいですからな。
 かくして4月上旬、時代に逆行するように、元箱付き美品のF3 Limited が私の手元にやって来た。金色に輝くLimited のロゴと専用ストラップで飾った姿 はどこか色ガマのような華やかさ。 現在のレベルからすれば機能は少ないし連写も遅いが、質実剛健の頑丈なボディーに明るく見やすいファインダー、そして何 より安定したホールド感が素晴らしい。趣味のカメラではあるが、是非彼にも定期的な活躍の場を与えたいものである。
Nikon F3/T  アホだ。全くもってアホである。F3Limited の使い心地に惚れ込んでしまった私は、続いてオールチタン外装のF3/T が欲しくなってしまった。デジ全盛の このご時世に、F3を2台も所有して果たして実際に使うのか?その疑問は確かに正論ではあるのだが、欲しくなっちまったモノはしょうがない。2011年5月、相 場の割に格安の美品をヤ●オクで見つけ、思わず自分に誕生日プレゼント。
 ただ、外見はピカピカでも機能面がどうかわからないのが中古品の怖いところ。早速梅雨時に西大井のフォト工房キィートスに点検に出す。と、高速シャッター に若干のムラがあるとの診断。まぁ、落札価格が安かった分、オーバーホール代で相殺だと考えて入場させ、梅雨明けと同時に徹底整備の末我が機材陣にF3/T が加わったのだった。
 あらためて手に取ってじっくり眺めると、チタン外装独特のチリメン塗装が美しい。 外側だけでなく、内部もF3P並みに高められた防塵防滴仕様が採られて おり、まさに最強のスーパーニコン。イエローのストラップを奢れば重厚感も一級である。といっても、今後そんなにハードに使い倒す機会があるとも思えないが、 動態保存機として近場の小湊や いすみ鉄道でのんびり使っていけたらなぁと考えている。
Nikon NewFM2  2010年末、中国樺南の年越しツアーに備えてスーパーサブとして導入したのがこのNew FM2。関西-D.W先輩の経験では、酷寒とはいえ現地ではデジも動いた実績 ありとのことだったが、氷点下 30度にもなる深夜のバルブにはやはりバッテリーを心配しなくて済む機械式カメラが安心である。ニコンの“最強” メカニカル機とし ては冒険家植村直己も使っていた F2 もあるけれど、さすがに予備機にしては値段が張り過ぎるし経年劣化も気になるところ。耐久性・信頼性と価格の調和という点 ではこれがベストな選択だった。中古で3万円也。
 で、実際活躍したのかと言えば、樺南森林鉄道が運休したためバルブも何も撮影できず(泣)。それでもせっかく買ったのだからと、銀塩カットはほとんどコイツで撮った。 仕上がりはバッチリ。ただ、課題点も幾つか見つかった。
 まずはファインダーが暗いこと。マット面がザラついてピントのヤマが掴みづらい。 これは帰国後FM3A用のスクリーンに交換して解決。もう一つはボディが小さ くてレンズとのバランスが悪いこと。これも最近中古で手に入れたモードラを取り付けて解消した。こうして私好みのFM2にカスタマイズが完了。うむ、外観もなか なか風格があってカッコイイではないか。さて、これからどんなシチュエーションで使っていこうかな。今後の活躍が楽しみな1台である。
Nikon D700  私、および当サイト「鉄路百景」は、自他共に認めるように常に“銀塩第一主義”を掲げてきた。しかし、時代の流れには逆らえない。2008年クリスマス、ふと気を許す と貯金の目減りと引き換えにコイツが我が家に上がり込んでいた。
 他の銀塩主義者からの「裏切り者」という誹りは免れない(汗)が、でも一つ言っておきたい。なぜD3ではなくD700にしたのか?それは、一つには金がないから。二つ にはD3にゴミ取りがないから。そして三つには、デジに完全には魂を売りたくないから!なのである。やはりカメラで大切なのは、使う時の「エラそう感」。 敢えて中級 上位機のD700に留めておくことで、勝負時には大艦巨砲主義のF5を出せるようにしたのである(ホントか?)
 とはいえこのD700、各方面からの評判通り大変優秀である。AFは速い、連写も効く、デジだから当たり前だが露出も外さないし高感度にも強い。フルサイズ なので銀塩と同じ感覚で扱えるのもありがたい。バルブで、夜スナップで、職場の行事撮影でその高性能には本当に舌を巻いている。というわけで、現在は夜の撮影と本命 前のポラ撮り専用と化しているけれど、これからは67と並べるときはD700にするとか、もう少しデジを可愛がってやろうと思う。数年後、「やっぱりデジデータも撮って おくんだった!」と後悔しないように…。



AF Nikkor20-35oF2.8D  今から2世代前の広角系大口径ズーム。F2.8の大口径に精研削非球面レンズを使い、外観は当時のニコン高級レンズのお約束だった縮緬仕上げで キメたなかなかカッコイイレンズで、サイズもそれほど大きくなく携行性にも優れていた。2004年夏、八戸線で腕木やタブレットを撮るときに表現の 幅が広がるかと期待して思い切って中古で購入した。確かお値段は7万円前後。
 それまで鉄をやるなら最短レンズは50oでいいや!と思っていたが、この 1本でその認識は大きく変えられた。駅構内でのスナップ、列車は小さくと も周囲の景色を余すことなく入れた構図、グリグリと絞りだされる群青色の空… これまで人の写真でしか見たことのなかった風景が自分のものにな った。間違いなく私の写真のバリエーションを広げてくれたレンズといえる。
 とはいえ、今から十数年前のズームである。ルーペで見ると周辺部の像の流れが気にならなくもない。聞くところでは、最新型のAF-SNikkor14-24mm F2.8G EDはスバラシイというが、でも、広角ズームに20万円は払えないなぁ…と指を咥えて傍観している今日この頃である。
AF-S Nikkor28-70oF2.8ED  ニコンは標準ズームが弱いといわれてきた。ライバル●ヤノンに EF24-70oF2.8L USMという定番レンズがあるのに、少し前までニコンはF4の時代から続く AFNikkor35-70oF2.8D しか大口径が存在しなかった。 焦点域は僅か2倍で、しかも使い勝手の悪い直進式。これにはプロも呆れたか、現場ではもっぱらトキ ナーの28-80oF2.8 (AT-X280 AF PRO) が使われていたらしい。そこへ一石を投じたのがこのレンズ。超音波モーターで静粛な動作を実現し、標準系なのに贅沢 にEDガラスを奢って、当時のカメラ雑誌で絶賛された。
 私が導入したのは2009年春。スナップを撮るのに50oの単玉だけでは不自由を感じて中古店で入手した。手にして思ったのは、とにかく重くてデカいこと。普 段は機材の大きさ重さは厭わない私も、この焦点距離でこのサイズには正直驚愕した。海外旅行ではツアー客にどん引きされてしまったがな(笑)。
 しかし、大きいことは悪ではない(バッグには入りづらいのを除けばね)。この堂々たる体躯と縮緬仕上げの外観は所有欲を満たすのに充分である。ただ、描写 については、個人的には巷の評判ほどではないと思う。普通に撮る分には問題ないが、遠景の木々の葉っぱなどを見ると、俯瞰で使うのはややためらわれる。状況 に応じて上手に付き合っていくことが求められそうな1本である。
AF-S Nikkor24-70oF2.8ED  2011年春、悪天候に嫌気がさして新宿の中古カメラ店を徘徊していると、ナノクリ標準ズームのAF-S Nikkor24-70oが10万円台前半で並んでいるのを発見した。 次に訪問した時に手持ちのAF-S Nikkor28-70o を持参して査定してもらうと、下取り価格は約8万円!これは…28-70oの描写にイマイチ納得いってなかっただ けに、絶好の誘い水。迷うまでもなく、帰るときにはレンズが新型に化けていたのだった。
 いわゆるナノクリ世代の大三元レンズである。性能に偽りはないだろうが、他の14-24o、70-200oに比べると性能的にスゴ味がないとの話も周囲のユーザーか ら聞いていた。果たしてどんなものなのか…。色々使ってみた結果、広角〜標準域は問題なし。ところが、個体差なのか70o相当がやや甘い。まぁ、70o域は70- 200oで撮るからいいかと割り切って、これからも付き合っていくつもりである。
 ただ、これだけだとニコン様に申し訳ないので言及しておくと、ナノクリは本当にスゴい!秩父鉄道の荒川橋梁で夕日のシルエットを撮ったときも、画面内に太 陽が入っているにもかかわらずゴーストはゼロ。今まで“味”だとして諦めていたモノがなくなったのは実に感動的であった。
AF-S Nikkor 70-200oF2.8G ED VRU  ついに導入してしまったVRU!ここ10年ほどニコンは望遠ズームでもコケ続けていた。下記の初代改良版80-200oは良かったが、AF-S80-200oF2.8は巨大化したの に周辺光量が落ち気味でイマイチ、次の70-200oのVRTもDXフォーマットで事足れりとしたのか周辺減光は変わらず。 しかもキ●ノンの真似をして白ダマを登場さ せるなどデザイン的にもしばし迷走の時代が続いた。
 だが、ここにきてようやく決定版が出た。 この70-200oのVRUは長年の周辺光量の問題を克服し、昨今定番のナノクリと手ブレ防止機能を高めたVRUで武装した最 強レンズ。周囲が次々と乗り換えていく中で、私もついに我慢しきれずMapカメラに走った。
 2010年10月実戦投入。試運転に内房で113系を撮る。2本続けて来る列車を新旧両レンズで1発ずつ撮り比べ。我が家には解像力チャートも何もないため数値的なも のはわからないが、明らかに新レンズは窓回りのディテールやナンバー文字のキレが違う。これはスゴいものを手に入れてしまった。描写だけではない。VR付きだから ダッコちゃんに載せても安心だし、テレコンが付くので微妙な焦点距離でも対応できる。花形のフードもカッコイイ。そして、何よりそんな最新型レンズをいまだにF5 に付けて使うのが超カッコイイ…のである(笑)!
AF Nikkor ED80-200oF2.8D  2000年以来、長年我が35判システムの中核を担ってきたのがこの80-200oのズームである。初代の直進式ズームを回転式にして三脚座を付けただけのものだが、1990 年代前半に発売されていまだに販売が続いているというのがスゴい。 後継レンズも出るには出たが、そのコンパクトさと価格で我が道を行き、現在も最新のVRUと並ん でカタログに名を連ねているのである。
 今でこそ419系のような元特急車的扱いに甘んじているこの玉だが、私が購入した10年ほど前はニコンのエースレンズだった。中古価格でも9万前後。学生の身ではす ぐには買えず、F4がボディだけでしばらく遊んでいたくらいである。それを秋のバイト代とOMの180oF2.8を生贄に捧げることでようやく手に入れ、以来全国各地を 連れ回し、そして使い倒した。
 確かに性能は優秀である。半段絞ったくらいまでは若干の周辺減光が見られるが、f4以降は全く問題ない。シャープネスもワイド側〜135o域までは文句なしである。 周辺光量落ちが指摘されていた AF-S やVRTの後も生き残ったのは、この描写力のお陰もあったのであろう。 だが、私の鉄人生をそのままトレースしてきたようなこの レンズもVRU導入を機に第一線から引退。先日、日芸写真学科に合格した教え子の許に、餞別として転配させてしまった。
AF Nikkor50oF1.4D  このAFの50oこそ我が機材庫の栄えあるニッコール第1号である。F4sと同時に1999年10月購入。何せオリンパスからのメーカー乗り換えである。まずはF1.4の標準 は基本だろうと何も考えずにボディに付けてもらった。
 よっぽど古いのはアレとして、ゴマルの単玉に外れは少ない。雑誌やサイトのレビューでも「開放では描写が甘く…」などと書いてあっても、絞ればシャープという記述 がほとんど。だいたい鉄で50oを開放にして使うことはまずないので、f 2.8以上でカリッと写れば何の問題もないのである。ご多分に漏れず、この50oも通常の鉄活動で 使うと非常にシャープでキリリと写る。有田鉄道のキハ58イベントで使い始めてからずっと第一線で活躍中。AF-S 28-70o を所有する現在でも、標準ピッタリのアングル では画質の面からこちらを選択してしまう。
 ただ、イマイチなのが外観と手触り。ツルツルのプラ成形とスカスカのピントリングは高級感とは無縁で、せっかくの大口径レンズのステイタスが感じられないのが残念。 ま、でも最新型AF-Sの50oF1.4Gと比べて手頃な価格とコンパクトなサイズを考えれば、これで充分か。
AiNikkor50oF1.4S  50oはすでに持ってはいたが、 F3入線を機にMFのニッコールも欲しくなってオークションで物色開始。マニュアルなら他にF1.2やF1.8、それにツァイスのプラナー F1.4もあるが、F1.2は僅かな明るさの差で値段が跳ね上がるし、F1.8では妥協感が漂う。プラナーはボケ味が云々という話を聞くが、鉄で35判の標準にボケを求めること はまずない。というわけで最も無難なコイツを落札した。AFニッコールに比べ、金属製のガッチリした鏡筒とトルク感のあるピントリングが堪らない。OM−1で育ってバケ ペンユーザーになった私には、やっぱりこの感覚がしっくりくるようである。
 レンズ構成は上記のAF50oと同じで、確かにこちらもよく写る。 それにF1.4の明るさとF3のクリアーなファインダーの組み合わせは、ピントも合わせやすいし何より撮 る気が高まってくる。時代は標準ズームが全盛だけれども、やっぱりMF機には単焦点50oだよなぁと思わせてくれる1本である。
 ただ、そんな私にも浮気してしまいたいMFニッコールの標準レンズが1本だけある。かつてFM3Aと同時に発売されたAiNikkor45oF2.8Pというパンケーキレンズである。 可愛らしいルックスと、ペンタ90oと同じ画角というのが非常に気になる。ただ、中古市場の価格は高め。買うかなぁ、買わないだろうなぁ…。
AiNikkor45oF2.8P  買わないだろうなぁ…と思っていたのに、ついついオークションで安い品を見つけてクリック一発。45oを購入してしまった。いわゆるパンケーキレンズというやつで、薄 型で軽いので携行性は抜群。銀箱の片隅に入れるには好都合である。F5に装着しても、プロ機の大型ボディとのアンバランスにかえって“味”がある(笑)。早速この夏から 実戦に投入してみた。
 デビュー戦は7月のいすみ鉄道や只見の旧客。 ペンタ90oと並べて使用した。上がりをルーペで眺めると、中心部のシャープネスは第一級。ただし、周辺部にやや像の流れ が見られる。うーん、残念!ポジならどうせマウントで隠れて見えなくなる部分だが、デジだとこれが結構目立つのである。カメラ雑誌であれほど持ち上げられていたこのレン ズも、やはりフィルム時代のレンズ。実際の性能はこんなもんかいな。
 でもいいのである、ポジ限定で使ってやれば問題なし!デジの場合にはAF-S24-70oを持ち出せばいい話。というわけで、今後も銀塩続行宣言を出している私は、このレンズ ともしばらく付き合っていくことになりそうである。
AFNikkor85oF1.4D  ニコンの歴代85oの中でも名玉の誉れ高いAiAF85oF1.4。現在最新のAF-Sはまだ雑誌が提灯持ち記事を書いている段階なので真価は分からないが、その新型との比較記事でも 「画質面で引けを取らない」と評されるこのレンズの実力は、間違いなく今でも十分通用するレベルのはずである。MF時代のAiNikkor85oF1.4があまり評判が芳しくないこと もあり、F3に合わせる単玉パーゴは新型出現で中古市場で値下がりしつつあったコイツと決めたのだった。
 2011年2月にオークションで落札。中古店頭価格よりも1万円ほど安値で新同元箱付きを手に入れることができた。しかし!いざ導入してみると、パーゴって意外に使わない ねぇ…。そもそも中望遠の焦点距離ならバケペンがメインに据わり、押さえで35判をズームで決めるというラインナップ。しかも近年の長玉志向の中で、昔みたいな平平凡凡の 編成写真なんて撮らなくなってしまった。うーん、勿体ない!
 というわけで、最近は余力があれば67、F5&D700という3丁体制を敷くようにしている。こうすれば俯瞰などでペンタ165を使うときに、コイツにも出番が回って来ると いうものだ。写りだけではなく外観もカッコイイこのレンズにはもっともっと活躍してもらいたいのである。
AiNikkor105oF1.8S  ニコンは昔から105oという変わった焦点距離が好きなようで、これまで何種類もの105oをリリースしている。 現行品はマクロを除くとAF DC Nikkor105oF2D しか出していな いが、MF時代には F1.8と2.5の2種類が併存しており、特にF2.5は小型軽量廉価、かつボケ味が美しいと銘玉の誉れ高かったという。
 だが、鉄の世界では妙なボケ味なんかより開放F値がモノを言う。F1.8とはなかなか気になるではないか。何しろライバル社の100oクラスは大概 F2が最高。AFニッコールの 105oもF2。一昔前のレンズとはいえ、この明るさは恐らくクラストップのはずである。さっそくヤフオクで探してみると、流通量はさして多くないが、価格的にそれほど高いわけ ではないようだった。
 いくつか見比べて4万ちょっとで落札。 太く短い寸胴の鏡筒と断面一杯の前玉がカッコイイ。F3で覗くと、標準レンズ並みの明るいファインダーでピンを拾うのも楽々。 モー ドラを付けていれば大きさも苦にならない。肝心の描写も問題なし。写真マニヤの中には二線ボケが…などという輩もいるようだが、しつこいけれど、35判の中望遠で鉄するのに ボケもへったくれもありはしない。
 時代に逆行しているとは知りつつも、 ローカル線でまったりするときくらいはマニュアル機材に単焦点レンズで遊ぶのもいいな〜と思う今日この頃である。
AF DC Nikkor135oF2D  デジも本気で併用しようかと検討し始めた(←遅い?)2010年春、まだまだ70-200o VRUの導入予定も全くなかったので、さしあたってデジに耐えうる描写のレンズを用意しよう と単焦点に手を出した。10年来使ってきた80-200oに少少飽きてきたところでもあったし、大口径の高性能レンズは銀塩でも一味違った写真を撮らせてくれるのではないか…そん な甘い期待を持ってヤ●オクをリサーチ。で、最初に目を付けたのがこの135oだった。
 135oという焦点距離には昔から燻銀のような銘玉が多い。サンニッパのような華やかさもズームのような利便性もなく至って地味な長さだが、 F3.5の廉価版からF2クラスの 大口径まで多様なラインナップが揃い、どれも安定した描写力で評価が高い。このレンズも例外ではなく、定期 「能登」 廃止翌日の「とき」から実戦に投入すると、期待に違わぬ シャープな像を結んでくれた。
 ただ、問題が2点ほど。私の場合メインが67で、超広角や超望遠以外では35判は押さえである。両者の画角はなるべく揃えたいのだが、ペンタ300はザンゴ換算150o相当。135o じゃちょっとスカるんだよなぁ…というわけで、ついついズームに頼ってしまう。またこのレンズ、世にも珍しいボケコントロール機能が付いているが、鉄写真でコイツを使う 機会は限りなくゼロに近いのであった…。
AiNikkor ED180oF2.8S  昔からニコンユーザーの間では神レンズとの誉れ高い180oF2.8。 メイン機材がF5なので本当はAFの方が使い勝手は良かったのだが、Ai AFNikkor180oF2.8EDは妙に間延びし た鏡筒に幅の狭いヘリコイドがどうにもカッコ悪い。だったら F3時代に一世を風靡したMFレンズを入手しようとネットオークションで競り落とした。お値段3万弱。中古店の店 頭を見てもそうだが、AiNikkorの180oはそのスペックと描写力の割に驚くほど安いと思う。これでいいのかと疑問を感じつつも、消費者たる私はその恩恵に与って2010年5月実 戦配備。
 金属製のズッシリ重く太い鏡筒に手に馴染むゴムローレット、そしてEDレンズを象徴するゴールドライン。かつて鉄道写真を始めた頃に雑誌を飾っていた達人諸兄が線路際で構え ていた憧れの機材である。眺めるだけでニヤニヤ。
 実用面でも、AF機ではピンが拾いにくいかと思われたが、実際にはフォーカスインジケーターが意外に役立ち問題はなし。F5はもちろん、D700との相性も良く、テレ側の描写が 弱かった80-200oF2.8の補完的役割を果たせるかと期待した。しかし、その年の秋に70-200oのVRU を導入してしまったため結局活躍の場は広がらなかった。まぁ、何のかんの言って も昭和のレトロなレンズだし、たまにローカル線でゆっくり使うのが向いているのかな(笑)
AF Nikkor ED300oF4S  学生時代はずっと最長焦点距離200oで頑張ってきたので、これが私にとって初めての超望遠レンズである。APSサイズのデジが幅を利かせる昨今、300o相当を「超」望遠 などというと鼻で笑われそうだが、これを導入した2003年当時はまだまだ風光明媚なローカル線が我々の主戦場だったため、最前線の撮り鉄たちは皆ペンタ67を構え、最長 400o(35判換算200o)までで勝負していたのである。ただ、一部の猛者たちはサンニッパを併用し、ブルトレや特急の顔面撃ちをカッコ良く極めていたのもまた事実。社会人 2年目の金欠青年だった私も、アングルのバリエーション拡大を視野に入れ、有楽町ニコンハウスに3万円で陳列されていたサンヨンを手に入れたのだった。
 確かに、コイツはコサカミの「あけぼの」や総武本線の「しおさい」など本線特急系で大活躍。それに八戸線の腕木を絡めたカットや音威子府のラッセルバルブなど、ロー カル線でも予想外に重宝した。小型・軽量で携行性に優れ、発色は地味ながらもシャープに写る。コストパフォーマンスは抜群であった。
 ただ、開放値がF4なのとテレコンが付かないのが気になり始め、2006年にサンニッパを購入。以後表舞台から退いて今に至る。現在は銀塩とデジで2台切りする際のもう 1本300oとして、D700と組んで渋く活躍している。
AF-S Nikkor ED300oF2.8D  鉄ならば、いや、写真をやっているならば必ず憧れの一本に挙げられるのが300oF2.8、通称サンニッパ。チバラギ氏や関西-D.W先輩がバズーカー砲の顔面撃ちで傑作を 残しているのを見て、またデジ全盛になり猫も杓子も超望遠を使いこなすようにようになったのを見て、私も時代に乗り遅れまいとこのレンズの購入に踏み切った。これなら テレコンを付けて420oにもできるし、67では絶対得られない絵をものにすることができるだろう。
 だが、当時通信教育の勤労学生だった私に新品や現行品など買えるわけもなく、最初に手にしたのは3世代前のAF-Iサンニッパだった。それでもシャープだし色のりもよく、 さすが高性能レンズ!と思ったものだった。
 でも、あまりにもボロい。レンズ内には微細な埃も目立つ。ある日モノは試しでMapカメラで見てもらうと、何と査定は私の買値マイナス1万円!1年半1万円でレ ンタルしたと思えば安いものである。幸い店頭にAF-Sサンニッパの美品がある。思い切って下取り交換をお願いしてしまった。
 こうして手に入れたサンニッパも発売は1996年。もう15年選手だが、構成は現行品と変わりない。抜群の描写力でブルトレからローカル私鉄まで、中判では届かない アングルでXを量産してきた。今後も変わらぬ活躍に期待したい。
AF-I Nikkor ED500oF4  長玉はサンニッパ+テレコンの420oまでで十分…と思っていたら甘かった。「なはつき」の山崎先端・「富士ぶさ」の天竜川など、デジ化の進展とブルトレの相次ぐ廃止で 鉄ちゃん界のトレンドはますます超望遠志向になってきた。
 こうなったら買うしかないかぁ…。悩むこと数カ月、ふいにヤ●オクで美品の500oを発見した。90年代前半にリリースされたAF-Iのゴーヨン、お値段38万円也。高い買い物 ではあるが、モノの割にはお買い得。しばし悩んだ末「なければ撮れない1枚がある」という天の声に導かれるまま思わず入札してしまった。さすがにライバルはおらず、スン ナリ落札。2009年の6月、我が家にバカデカい宅配便が届いたのであった。
 防湿庫保管の美品という触れ込みだけあってフードに掠り傷がある他はピカピカ。陽炎の消えた秋口から早速鉄戦線に投入となった。初めは減価償却できるか不安もあったが、 意外と使えるものである。南今庄先端の「雷鳥」・横田駅のタブ交換・鯨波Sカーブの「北越」など、本線・ローカル関係なく要所要所でコイツが勝負を決めてくれる。やや古 いレンズとはいえ光学性能は高く、プロ4にしっかり据えてブレを防げば隅々までシャープな絵を得ることができる。×1.4テレコンで700o、×1.7で850o。ついに撮れない アングルはなくなった。
Teleconverter TC-14E / TC-17EU 【TC-14E】
 手持ちのレンズの焦点距離を手軽に伸ばすことのできるテレコン。常用域ではあまり有効性を感じなかったが、超望遠の世界になると話は変わってくる。サンニッパを購入して 間もなく、早速×1.4を手に入れた。コイツ装着すれば、300oは420oに、500oは700oに変身。特に400o前後の焦点距離は、ヨンニッパを持たない私にはありがい存在であった。

【TC-17EU】
 従来テレコンは×1.4と×2.0の2本立て。だが、ニコンはさらに×1.7をリリースしてきた。鉄界のみならず各ジャンルからの評判では×2.0テレコンは画質の劣化がエラく酷評 されているが、1.7とはイイところを突いてくるではないか。これなら開放値も1段半落ちで収まり、画質の劣化もそれほどではないはず。
 浦和の陸橋でブルトレを撮るには800o以上が必要と聞いて中古で購入し、実戦に投入した。結果は上々。さすがに800o超は滅多に使わないが、現在では500oのアングルで銀塩 ・デジの2台切りをする際、サンニッパに装着して510o相当として用いることが多い。



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