GALLERY12 さらば信濃路のりんご特急
2.錦秋の山並み・白銀の世界
この日は、冬を先取りしたような寒い1日だった。長野市内でも初氷を観測したとラジオのニュースが伝えている。高速から見た北アルプスの峰々はもう冠雪を戴いて
おり、関東ではまだサッパリの紅葉もすでに里まで降りてきていた。時期的には狙い通り。さて、色付く山々とりんご特急の組み合わせは、思い描いたように撮れるかな。
早速朝の普通運用のアングル選定に入った。
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05・11・17 小布施−都住 NikonF4s AFNikkor300oF4ED RVP100 |
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まずは、R●誌に連載されていた「名峰へのプロローグ」で見た小布施のオーバークロス。多少周囲はゴチャゴチャしているものの、バックに北アルプス槍岳が入る。
作例は黄昏時のシルエットだったので、逆に考えると朝は順光になるはずだ。冷え込みが厳しかっただけに長野盆地ではところどころに霧が発生し背後のアルプスの見
え具合は怪しかったが、ファインダーを覗くと、薄い水蒸気の上に鋭い銀嶺がその頭を突き出していた。
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05・11・17 信濃竹原−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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一足早く冬型の気圧配置になったこの日は、紅葉は美しかったが、雲は多いし北風は強いしで列車が来るまで落ち着かない猫の目天気。何とも心臓に悪い。どんよりし
た空はなるべく画面からカットして、山バックのポイントを中心に回る。幸い運には恵まれたようで、2000系が来るときには全て晴れ。定番夜間瀬の鉄橋も、背景はや
やマンダ〜ラ気味ながら、ベタベタのいい光線で極めることができた。
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05・11・17 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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午後の必修アングル、上条のストレートも今日は空をカットしてペンタ400で撮る。こんなに条件がいいのに他に撮影者はなし。D編成が運用を離脱する直前だった先日
の喧騒が嘘のようである。耳を澄ますと遠くから鉄橋を渡る音が響いてきた。列車は夜間瀬まで来たようだ。程なくして踏切が鳴る。錦秋の山並みを背に、2000系がゆっ
くりと山を登って来た。
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05・11・17 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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日が傾くと、風の冷たさが一層身にしみるようになる。指はかじかむし鼻水は止まらない。もう身体の感覚は冬のそれである。次に特急が湯田中に来るのは 16時半前。西
の空はクリアーに抜けているが、果たして日はもつだろうか?他に移動するアテもないし、構図だけセットして車の中で本でも読みながら待機。16時過ぎにスタンバイし
に行くと、もうレールの影が線間のバラストに伸びていた。ギリギリだなぁ…。日没コールドのリスクが限りなく高いが、当たれば見事な大当たり。さぁ、一刻も早く来て
くれ!願い通じて、日のあるうちに踏切が鳴った。レベルライトをベッタリ浴びてB特急が現れる。くぅ〜最高!秋の日は釣瓶落とし。機材をしまい終えると、すでにアン
グルは影の中に飲み込まれていた。
2005〜06年の冬は記録的な豪雪に見舞われた。例年なら雪が積もり始める12月にして、すでに信越山線には雪壁がそそり立ち、クリスマスを前にしてシーズン一発目の特雪
が出た。情報を得ていざ現地に行くと、ビックリ!あまりに猛烈な吹雪にカメラを出すのも一苦労。初めての信越線でアングルもよくわからないし、大したカットも撮れぬ
まま場当たり的に追っ掛け、最後は妙高大橋から後ろ姿を俯瞰して一連のミッションを終えた。それでも時刻はまだ昼前。次第に雪も止んで視界が開けてきた。よし、長電
に寄って行こう!
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05・12・20 信濃竹原−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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信州中野まで戻って来ると、ちょうど夜間瀬の鉄橋が順光の時間だった。まだ12月だというのに雪量は十分。鉄橋上にも雪が載り、バックの斜面の家々もみんな屋根には雪
帽子。これなら普通の撮り方でも燃えるというものだ。まずはペンタ300でベタベタの編成撮りをしてみた。
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05・12・20 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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次の湯田中行きは、やっぱり定番の上条ストレートで。夕方になるにつれてグングン天気は回復し、山の稜線近くまでクリアーな青空になった。こんもりと雪に覆われた二
条の鉄路の上を、低い西日に前面ガラスを光らせた2000系が静々とやって来る。積雪シーズンに備えて高さの増した標識が目障りではあったが、踏切のすぐ脇からペンタ400
タテの顔面撃ち構図で切り取った。
撮影データを紐解くと、この頃は何を思ったかしょっちゅう湯田中界隈に出撃を繰り返している。何でだったかな?ポジファイルを繰りながら思い出した。2005〜06年の冬
は近年稀にみる豪雪で、行き付けの大糸線が長期警戒運休に入っていた。せっかくの日本海側バリ晴れでも打つ手がない。そこで次善の策として候補に挙がったのが、新塗装
とはいえ秀逸なデザインで我々を引きつける長電2000系だったのである。
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06・01・16 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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この日は、妙高など北信五岳は見えなかったが、夜間瀬の鉄橋のすぐ真後に聳える高社山はクッキリと青空に抜けていた。いつも鉄橋と上条ばかりでは芸がない。今日はリ
ンゴ畑のカーブで高社山を背景に入れてみよう。まだまだ鉄が全然いなかったのをいいことに、ファインダーを覗きながら好きなように立ち位置を決める。曲線半径がかな
りキツいため、カーブの外側からペンタ300でもいい感じの角度になる。リンゴの枝はややウルサいが、特徴的な山の稜線はピッタリ。 間もなく、湯田中行きの特急がモー
ターを唸らせて急勾配を登って来た。
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06・01・16 夜間瀬−信濃竹原 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1) |
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そういえば、夜間瀬の鉄橋での高社山との組み合わせは意外にも未履修のままだった。返しの長野行きは信濃竹原側の堤防からペンタ165で狙う。架線柱2スパンで3連が
ちょうど載ったはず。どこの2スパンを切り取るかでやや悩むが、山のバランスを考えてアングル決定。山を下りてきた2000系を手堅く切り取った。
しばらくして、長野電鉄は新たな特急用車両として小田急からHiSEの譲渡を受け、「ゆけむり」としてデビューさせることになった。それに伴い、2000系は4編成のうち
B・Cの2編成が廃車、定期運用は朝夕のB特急に限定されることになった。いよいよ湘南フェイスが一世を風靡した時代の生き証人、地方私鉄のプリンスにも引退の日が近
付いてきたか…。だが、肩を落とす我々の許に朗報も飛び込んできた。残されたA・D両編成がそれぞれマルーンとリンゴカラーに戻されるとのこと。おぉ、マルーンはさす
がに世代が違うが、リンゴカラーは幼い頃に絵本で眺めた追憶のリバイバル!撮影チャンスは少なくなったが、これは面白いことになってきた。
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