GALLERY12 さらば信濃路のりんご特急
3.さらば、りんご特急
リバイバルカラーが登場して出撃頻度が上がるかと思われた長電だが、朝夕の限られたスジにしか充当されないのと、その頃から盛岡キハの引退・「富士ぶさ」廃止
米坂キハの置き換え…と各地で必修課題が相次いだのとで、しばらく足が遠のいてしまった。それに、りんごカラーは聞きしに違わぬカッコよさだったが、マルーン
の方はいざ現物を見てみると、う〜ん…。あの丸顔を黒に近い茶色に塗ってしまったがために一部の鉄仲間からは“ウォーズマン”とあだ名され、ポジで撮るとサッ
パリ色が出ないことからすっかり厄介者扱いされることになってしまった。確立2分の1でウォーズマン…このリスクが長電から足を遠のかせたのは間違いない。
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08・03・08 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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この日は久々の移動性高気圧直撃予報を受けて大糸線に出撃!ところが、気象庁様が見事にやらかして天気は大外れのどん曇り…。待てど暮らせど回復の兆しがないため
昼頃で見切りをつけて、白馬からオリンピック道路で長野に抜け、上信越道経由で帰路に就こうとした。が、長野の市内に入ると急激に雲が消えてドバリ晴れに。これはこ
のままスゴスゴ帰るわけにはいかぬ!長野ICから北に進路をとり、信州中野ICから上条ストレートを目指した。狙い通り、雪の残る道床が淡いオレンジの西日に照ら
される。日中の惨敗ぶりからは想像できないX条件の中、今日はりんご色の湯田中行きが山を登って来た。
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08・03・08 上条−夜間瀬 NikonF5 AFNikkor20-35oF2.8 RVP100 |
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返しはいい案が浮かばず、上条の逆アングルへ。雪は少ないが、ローアングルから広角で見上げれば誤魔化せるかな?エロ光線のサイドギラリに期待して、20oで構えた。
やがて、列車は上条の駅をゆっくりと発車。下り勾配を結構な勢いで加速しながらファインダーに飛び込んできた。タイミングを合わせて気合いの一撃!
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09・05・02 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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この日は飯山線でDD16+雑客の「菜の花まつり号」が運転された。最後のG.W.を迎える485系「雷鳥」と悩んだ末に、近場の飯山に参戦。往復共に追っ掛けして、最後
を蓮−替佐で見送った。それでもまだ日没まで間がありそうだ。さささ氏・コサカミ氏と合流して、千曲川の対岸の長電に転戦した。とりあえずはベタに上条へ。やや日は
弱って来たものの、この時期は新緑が美しい。今日はりんごかな?マルーンかな?間もなく踏切が鳴ると、リンゴ畑の間から、“ウォーズマン”が顔を出した。
結局ここ数年は大糸や飯山の合間に転戦したのが数回のみで、出撃ラッシュは引退間際のこの2月からだった。1月半ばから「ゆけむり」の検査入場に伴い日中の
A特急代走に2000系が登板するようになり、2月12日の改正で一足早く茶色編成が引退してからはりんごカラーが「スノーモンキー」こと元NEXのスジで定期
運用に。冬型が強すぎて不安定だった天候も、2月に入って晴れ予報が出るようになった。このチャンスを逃すともう後はない。毎週末のように未明の上信越道を
突っ走る日々が幕を開けた。
久々の長電訪問で思ったのは、一つはこの数年の間に機材を大幅に拡充した(物欲に走ったとも言う)お陰でアングルのバリエーションが著しく増えたこと。67至上
主義だった頃には超望遠の顔面撃ちなど考えたことすらなかったが、今ならサンニッパにゴーヨン、テレコンを噛ませば700o800oの世界だって何のそのである。車
両中心の構図をとるとき、これは本当にありがたい。もう一つは、『お●ち台●信』や各誌のギャラリーで作例がずいぶん発表されたこと。桜沢・夜間瀬・上条くら
いしか撮影地を知らなかったアウェイの人間にとって、こうした情報は非常に参考になった。
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11・02・19 小布施−北須坂 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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研究不足と言われればそれまでだが、小布施駅の南にある松川の鉄橋も雑誌に載って初めて知った。最も有名なのは国道403号の橋から長玉でアルプスをバックに真横
を狙う構図。だが、この日はバリ晴れ予報に期待しながら半徹で走ったものの、日の出と共に西の空から雲が広がってきた。早朝見えていた北アルプスもあっという
間に雲隠れ。朝一の信州中野行きは撃沈し、返しを狙いに橋の袂に移動する。線路に並走するケーブルが目障りではあるが、ギリギリでかわしてペンタ400をセット。
山が見えないなら見えないなりに、これでどうだ!
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11・02・20 小布施−北須坂 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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翌日は薄いながらも山が出たので定番で。『お●ち台●信』に掲載された見本をみつつ、編成が全部乗る切り位置を確認。メインの機材はペンタ400、一発勝負で失敗
は許されない。2000系最後の週末ということで多くの同業者がズラリと並んだ道路橋にポジションを確保し、主役の登場を待つ。7時48分、画面右手から鉄橋に躍り出
たりんご色を、狙い澄まして一撃で切り取った。
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11・02・19 上条−夜間瀬 NikonF5 AF-INikkor500oF4ED×1.4 RVP100 |
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2月12日の改正後2000系が充当された「スノーモンキー」スジは、朝一が須坂−信州中野を1往復、その後は長野−湯田中を5往復する。次の2本目は夜間瀬の鉄橋か
上条がいい。北信五岳はまだ見えないから上条の農免踏切かな。現地で合流した関西D.W先輩・J-Bird 氏と並んで三脚を広げた。だが、背後の妙高が見えると踏ん
だのか、何者かがアウトカーブの線路際に場所取りを施していて普通には撮りづらい。うむむ…こうなったらバズーカ−砲を使って力技で解決するしかないか!弾を込
めてぶっ放す…のではなく、ゴーヨンにテレコンを付けて、700o相当で勾配を登るりんご特急をチョキチョキ切り取った。
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11・02・19 上条−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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何となくそんな雰囲気はしていたのだが、例の置きゲバの主は知り合いの雲発生注意報氏だった。10時過ぎからグイグイと晴れ間が広がり背後の山々も見えてくると、
お仲間数人と氏が登場。私も一緒にお邪魔させてもらう。今どき少数派のペンタ67党は単玉勝負のため立ち位置が難しい。稜線のバランスを見ながら、架線柱を右端
で切り、かつ車体に枝がかからないように…あれこれ考えて構図を決定し、日比谷線やロマンスカーで何度も予習を繰り返す。しかしこう天気がいいと雪が溶け
ていくのが心配になる。三脚を立ててから1時間半、ずいぶん道床が見えてきた。早く来て!待ちくたびれた頃、午後一番の湯田中行き特急が山を登って来た。
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11・02・19 信濃竹原−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX55oF4 RVP(+1) |
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もう撮り飽きるほど来た夜間瀬の鉄橋。だが、今日は後の山の様子が違う!つい小1時間ほど前まで雪雲に覆われていただけに、高社山もその右隣の山もコテコテのク
リスマスツリーになっているのだ。さぁどう撮る?引退間際で激パする堤防ではなかなか思い通りのポジションが確保できないが、2つの山を入れることを考えて前列
ローアングルでしゃがみ込む。最近買った新兵器ペンタ55oで、2つの山と濃い青空を強調した撮り方をしてみた。
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11・02・20 夜間瀬−信濃竹原 PENTAX67 smcPENTAX90oF2.8 RVP(+1) |
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翌日は雪の量が減り空気もやや霞んでいたが、北信五岳は姿を見せていた。午前の湯田中行きを前日と同じく上条の山バックのカーブで撮った後は、ここ夜間瀬の鉄橋で
返しを後撃ち。川縁の土手に築かれた雪壁に登ってペンタ90oを覗くと、鉄橋の後ろに信越の山々が稜線を並べた。
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11・02・19 信濃竹原−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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今度はスタンダードに夜間瀬の鉄橋をシチサンで狙う。当り前のカットだが、そういえばりんご色が復活してからは一度も撮っていなかった。バックの山の稜線は雲に覆わ
れているためペンタ300を選び、対岸の雑然とした家並みが上手く車体で隠れるようにしてセット完了。向こう岸の踏切が鳴ると、間もなく列車が山を下りてきた。
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左:11・02・13 信濃竹原−夜間瀬 NikonF5 AF-SNikkor300oF2.8ED×1.4 RVP100
右:11・02・19 信濃竹原−夜間瀬 NikonF5 AF-INikkor500oF4ED RVP100
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「撮影日記」でもアップした信濃竹原の築堤。夜間瀬の鉄橋を渡って下りてくるところを長玉で撃つポイントである。順光になるのは昼過ぎから。13日は午後一番の列車を
サンニッパ&テレコンで切り取った。だが、光線が普通なのが心残り。できれば夕方の列車で撮り直したかった。しかし、その日は西の空に雲が広がりアウト。結局翌週
もこのポイントに三脚を立てることになった。今日は500oで再履修。攻め過ぎて編成が溢れないよう、前回撮ったデジ画像と睨めっこして構図を決める。アングルよし!西
の空に雲はない…露出よし!あとは動態予測で連写するのみ。夕陽を前面ガラスに反射して現れた千両役者に、惜しみなくシャッターを切った。
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11・02・19 湯田中駅 NikonD700 AF-SNikkor300oF2.8ED×1.4 ISO200 |
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スイッチバック式だった湯田中駅は、2006年9月に周辺道路も含めた大工事を行って普通の駅に改造された。ロマンスカーではスイッチバックができないためらしい。が、そ
れで配線が変わったお陰か、上条方の踏切からバルブができるようになった。サンニッパにテレコンを付けると天地パツパツながら構図はピタリ。この日も駅前の楓の湯でひ
と風呂浴びる前に、D.W先輩らとカメラを並べた。18時01分に入線してから、ハイビームのヘッドライトを点灯するまでが勝負の時間。ホームをウロつく乗り鉄たちのがいな
くなるタイミングを見計らってシャッターを切った。
モダンな見た目からは想像がつかないが、北長野の雄 長電2000系もすでに登場から50年余りが経つ。名鉄5000系をはじめ、同世代の湘南フェイスたちはすでにそのほとんどが
線路上にいない。大手私鉄は別として、次々と東急や京王のステンレス電車が天下りしている昨今、地方私鉄がオリジナルのしかも特急電車を所有する時代はもう終わりなのか
も知れない。それを思うと、私の世代などは撮影に間に合ったことだけでも幸いと思わねばならないのだろう。だが、悔やまれるのは「ゆけむり」導入後、せっかくリバイバル
カラーが登場したにもかかわらずあまり熱心に訪問していなかったことである。 四季折々の情景と“りんご特急”の組み合わせを撮り逃した後悔は大きい。
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08・05・03 上条−夜間瀬 NikonF5 AFNikkor20-35oF2.8 RVP100 |
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その一方で朗報も入ってきた。D編成は夏まで残り、各種イベントで最後の活躍を見せるとのこと。大震災の影響で予定は流動的ではあろうが、ぜひ混乱が落ち着いた頃に満開
の桜や可憐なりんごの花との共演を撮ってみたいものである。さらば、長電2000系、また会う日まで!
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