GALLERY12 さらば信濃路のりんご特急
1.花咲き乱れる季節に
“りんご特急”との最初の出会いは、もう6年も前にさかのぼる。GWを目前に控えた4月下旬の日曜のこと、飯山線の工臨を撮り終えた後、ふと思いついて
千曲川の対岸を走る長野電鉄に足を延ばしたのがきっかけだった。当時から2000系という湘南マスクの特急専用車がいることは知ってはいたが、所詮は本で得た
知識だけ。どんなロケーションをどのくらいの本数走っているのかすらわからなかった。まだ復活塗装も施されておらずブームにもなっていなかった頃、詳細な
撮影地ガイドなどあるはずもなく、カーナビだけを頼りに行き当たりばったりで夜間瀬の鉄橋を目指した。
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05・04・24 信濃竹原−夜間瀬 NikonF4s AFNikkor20-35oF2.8 RVP100 |
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いざ現地に乗り込むと、今を盛りと咲き誇る桜並木が出迎えてくれた。背後に聳える高社山と抜けるような青空に、ピンクの花びらがよく映える。この景色を余す
ことなく取り入れるため、F4sに広角ズームを付けて20oで呷ってみることにした。2000系の特急が、湯田中に向けてゆっくり鉄橋を渡って行く。
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05・04・24 信濃竹原−夜間瀬 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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返しの長野行きは普通に正面から狙ってみる。りんごカラーを見慣れた今からするとツルツルおでこにちょっと違和感がある新塗装だが、当時の私としてはクリーム
と赤という国鉄色的配色でなかなかお気に入りのデザインであった。
山は新緑にはまだ早いけれど、クリアーな空気と爽やかなそよ風が心地よく、花の香りに乗ってやって来る丸顔の電車は今後クセになってしまいそうな魅力を放ってい
た。大糸や飯山といった比較的被写体に恵まれた路線と掛け持ちできることもあり、この後6年間、ことある毎に長野電鉄に足を運ぶことになった。
前年の傾向から、夜間瀬川の堤防の桜は4月下旬に満開になることが分かった。翌2006年はGW前週に飯山線に“浪漫”が入線。こいつを撮りに行くついでに長電に
立ち寄った。が、冬の寒さが厳しかったこともあり、このときは桜の花はまだサッパリ。だが、蕾を見ると大きく膨らみ、もうあと数日で開花を迎えそうな塩梅である。
よし、迷わず翌週も出撃だ!
といっても、全く迷いがなかったわけではない。一応人間には
プライベートってものもありまして、この翌週は煩悩に負けて鉄をサボりそうになっていた。が!長野北部にバリ晴れ予報のお日様マークがついたらミッションを放
棄するわけにはいかぬ。情を振り切ってハンドルを握り、徹夜ドライブで夜間瀬の鉄橋に辿り着いた。
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06・04・29 夜間瀬−信濃竹原 NikonF5 AFNikkor20-35oF2.8 RVP100 |
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早朝アングルに到着すると、予想以上の景色が広がっていた。桜はまさに見頃のド満開!鉄橋のバックには妙高・黒姫などの北信五岳が冠雪を抱いて並び立っている。
これはスゴイ!やっぱりおねーちゃんより鉄ちゃんだねぇ、今思うと若い日々を無駄にした気もするけれど…(汗)。 早速、後追いではあるがF5に広角ズームで上り
の特急を1本迎え撃ってみた。
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06・04・29 夜間瀬−信濃竹原 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1) |
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次の下りはライティング的にも最もベストなスジである。北信五岳全てを入れると天地がスカスカになるので、高妻・黒姫・妙高の三峰に絞ってペンタ165oで手堅く
まとめる。後の桜並木が目立たないのがもったいないが、名車2000系の姿をカッチリと切り取ることができた。
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06・04・29 都住−桜沢 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1) |
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桜沢の丘に当てずっぽうに登る。確か以前RM誌の「名峰へのプロローグ」で見たような気がする俯瞰ポイントを探して。細い農道を来るまで右往左往していると、
急に視界が開けた。黒姫・高妻両峰を正面に、細いレールが眼下で大きく弧を描く。線路に近い電柱や電線のせいで意外と難しいが、切り位置を決めて一瞬のチャン
スを待つ。間もなく、すっかり高くなった光線に肩を光らせながら2000系が現れた。
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06・04・29 都住−桜沢 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1) |
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都住−桜沢間は沿線が開けていて普通に撮るなら撮りやすいポイントが点在している。俯瞰の後、地べたに降りて線路際を徘徊し、りんごの花を絡められる場所を発
見した。もうサイドの光線は限りなく弱くなってきているが、まぁここは目をつぶろう。右に花、左に電車を配してローアングルからペンタ165oで構図を作ってみた。
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2枚とも:06・04・29 湯田中駅 NikonF5 AFNikkor80-200oF2.8 RVP100
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数年前に改修されて大きく様相が変わってしまったが、かつて湯田中駅はスイッチバックの終点駅としてちょっと知られた存在だった。山岳路線の旧山ノ内線(現長野線)
は、夜間瀬からりんご畑の中の急勾配を駆け上がって湯田中駅に滑り込む。ところが、そのままでは駅構内に3両編成分の平坦な有効長が確保できず、かといって駅の先
に県道の踏切があってホームの延長もできなかったため、延長線を敷いてスイッチバックで平らな築堤上のホームに滑り込む構造になっていたのである。当然、発車の際
も一旦下がって延長線上に出てからでないと出発できないので、ドアが閉まるとまず車掌が運転士に合図をし、後方を確認してから列車が動き出す。ぼんやり眺めている
と、これがなかなか面白い。この駅独特のシーンを軽くスナップで切り取った。
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06・04・29 上条−夜間瀬 NikonF5 AFNikkor50oF1.4 RVP100 |
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上条駅のすぐ夜間瀬方の直線は、午後の下り列車を撮る定番ポイントである。この日も桜アングルを堪能した後ここにやって来た。湯田中行きはX。さぁ返しをどうするか?
頭をひねって足元をみると、黄色い水仙の花が線路脇に咲いていた。これで行くか!激ローアングルの出来ないハスキーでは構えられないため、手持ちで地面に寝そべって
列車の通過を待つ。どうせ後追いである。花にピントを置いて、ヘッドライトの点いていない電車をアウトフォーカスにして誤魔化してみた。
この日は午前中に飯山線でDD16重連の訓練運転があり、午後からは大糸非電化でマヤ検が走るという北信濃チビロクフィーバーの1日だった。天気も快晴!まず
は蓮−替佐で重連単機を押さえた後、大糸への転戦がてら都住−桜沢に立ち寄った。
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05・05・25 都住−桜沢 NikonF4s AFNikkor80-200oF2.8 RVP100 |
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初夏の長野盆地は、田んぼから山並みまで一面瑞々しい緑に覆われる。幾度か通った地でも季節が変わるとこうも見える景色が違うものなのか。眩しい新緑に見とれな
がら、順光になりそうなポイントに三脚をセット。光線がカタく足回りは潰れ気味だが、強烈な日差しを浴びて2000系の丸顔がファインダーに飛び込んできた。
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