GALLERY09 米坂線 四季帳
2.夏の章〜深緑の車窓にエンジン音を響かせて〜
山を包む木々の葉もすっかり色濃くなる季節、国鉄色は滴る深緑にも良く似合う。眩いばかりの緑一色の世界に、クリームと赤のツートン
は実に鮮やかだ。08年は梅雨時になっても週末は天気が持ち直すことが多く、金曜17時の晴れ予報に誘われて、幾度も置賜地方に足を運んだ。
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08・06・28 中郡−成島 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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この日は、リバイバルの急行「あさひ」が走るとのことで金曜深夜にチバラギ氏と東北道を北へ。しかし、残業続きのチバラギ氏と13時間
労働の私では2M運転の意味も無く、道中雨が降り出したこともあって那須高原のSAで2人とも廃人に…。せっかく同じ日にツートン・タ
ラコの通称ゴールデン・コンビがA3運用に入っていたにもかかわらず、宇津峠の俯瞰には間に合わなくなってしまった。
仕方なく、中郡の田んぼでこの編成を迎え撃つ。夏雲を背に、著しく国鉄な編成は紫煙を燻らせ全力で駆け抜けていった。
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08・07・13 手ノ子−羽前沼沢 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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前回の雪辱を果たす日は約2週間後に訪れた。これまた前日が日中に親戚の結婚式、夕方から仕事というハードスケジュールで、夜にはも
うクタクタ。そこへいつものようにチバラギ氏から入電。「衛星画像見た?東北は雲が切れてる。絶対晴れる!」しかも、運用を確認する
と、幸か不幸かタラコ&ツートンがA3運用に入るではないか!気付けば私はジムニー号のハンドルを握っていた。
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08・07・13 羽前沼沢−手ノ子 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1) |
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今日は58・28もA1運用に登板。A1の定番は羽前沼沢の明沢俯瞰だが、沼沢近辺は雲が湧いて空が怪しいため、編成撮り狙いで小国のいわ
ゆる“ガソリンスタンド”に行った。が、まさかの直前曇り。すぐに追撃体勢に入った我々は、羽前松岡で早くも列車に追いついて、間瀬橋
に先行した。こちらは抜けるような青空。やがて、谷間を吹き抜ける緑の風が力行するエンジンの響きとタイフォンの音を運んできた。
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08・07・13 中郡−成島 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1) |
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午後からはいつものように中郡へ。夕方の1146Dから山に上がる。前回ここを訪れてから約2ヶ月。季節は確実に進み、盆地は絨毯を広
げたかのように一面緑になっていた。遠景で青く霞む山並みも夏らしい。今日は165mmでいこう。間もなく、A1運用の58・28が米沢に帰っ
て行った。
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08・07・13 中郡−成島 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1) |
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続いて、同じ場所でこの日のメイン、A3運用の52・40を待つ。今度はペンタ300を着けて米沢方に振ってみた。17時過ぎの柔らかい光線を
浴びて、ツートン・タラコの混色編成がのんびり走る。十数年前は各地で当たり前に見られたこんな光景も、目にすることができるのはあと
半年余り。ふと感傷的な想いに囚われながら、そっとバケペンのシャッターを押した。
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