鉄路百景 GALLERY01.鹿島鉄道最後の日々04

GALLERY01 鹿島鉄道最後の日々

4.キハ714

家にある過去十数年分のRM誌を紐解いてみると、既に90年代半ばから鹿島鉄道が幾度か取り上げられている。飯田線のED62貨物や ボンネット「しらさぎ」、各地の普通客レなどの今や見ること叶わぬ鉄道情景と並んで、「かしてつ」が同格に扱われてるのである。 では、当時の鉄ちゃんを惹きつけた「かしてつ」の主役とは…。

RM156号「今なお現役'96」(←わたくしはまだ高校3年生!!)では、百里基地への燃料輸送のための貨物列車と共に、「湘南マスク のDC」と題してキハ714が紹介されている。そう、今でこそ金太郎塗装で人気を博しているキハ431・432も、最古参気動車キハ600も、 あの頃は新規導入されたKR500に合わせてワンマン化改造を受け、白地にパープルのラインという何ともデザインにそぐわぬ怪しい塗 り分けで走っていたのだ。そんな中、片面にサンケイスポーツ、片面にGallopの広告を入れたキハ714だけが往年の旧塗装を守り、ワ ンマン化も免れて、コアなファンの注目を集めていたのである。

あれから10年余りが過ぎた。飯田線に貨物列車はなく、「しらさぎ」はよくわからぬ新型車両に置き換えられ、普通客レは、昨春の 樽見鉄道の客車廃止を最後に全国から完全消滅した。思えばこの10年の鉄ちゃん界は撮影対象が急激に減少した大変動の時代だった。 そして今、鹿島鉄道も時代の波に飲まれたというべきか、廃止を間近に控えている。だが、キハ714はここまでの10年間、何事もなかっ たように走り続けてきた。しかも驚くべきことに、上述のRM誌の記事を見る限り、714の運用は夕方の1往復こそ他のワンマン車に 譲ったものの、朝のキハ600と組んだ2連の通学列車のスジは変わらず守り続けてきたのである。1953年に北の大地で生を受け、夕張 鉄道で活躍ののち、霞ヶ浦湖畔に居を移してはや30年以上。かしてつ最後の日まで走り続けるキハ714の雄姿を、カット数は少ないな がらもお目にかけようと思う。

03・11・22 浜−玉造町 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1)
2005年の「ふるさと駅フェスタ号」に行く2年ほど前、「かしてつチャリンコ号」で一度浜の国道クロスを訪れていた。あの頃はアン グルも運用も、何より走っている車両の形式すら知らなかった。とにかく「旧型が来た」というだけで何も考えずにシャッターを切って いた。久しぶりに当時のポジファイルを開けてみると、そこにはオデコが白かった時代のキハ714の写真が1枚だけあった。確か第3土 曜だったか何かで定期スジに入れられていたような気がする。しかし、ホントに1枚こっきり。3年後、こんなに熱心に通うことになる とは、この時の自分は知る由もない。

 07・01・19 借宿前 NikonF5 AF-INikkor300oF2.8 RVP100

1月19日のかしてつツアー(前ページに詳述)で撮影した通学列車。1月下旬では朝の日はまだ低く、直前まで線路に影が落ち冷や汗も のだったが、1両目だけギリギリで足回りまで日が当たった。サンニッパで正面ブチ抜き!

07・02・02 八木蒔−浜 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1)
2月に入り、通学列車はキハ714の単行となった。いつもの2連では常にキハ602が鉾田側に連結されるため、下り列車は後追いしな い限り撮影対象にはならず、肝心な上りも玉造町以西では光線が悪かったが、単行になればアングルは倍増!この日は八木蒔−浜のラー メン屋さんアングル午前側からアップで一撃!顔だけ見ると塗り分け以外はキハ432にソックリだが、714のチャームポイントは解放テコ。 侍が抜刀するかの如くナナメに構えたテコが、無骨な表情を作り出していてカッコイイ。

07・02・02 榎本駅 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)
朝の石岡行きは本当にアングルに悩まされる。正面に日が回るのは借宿前から榎本の玉造町寄りくらいまでで、浜・桃浦・四箇村といっ た有名撮影地は全て太陽を背負って走る形になってしまう。確かに鉄ちゃん基準ではサイドに光が当たっていれば充分なのだが、こと714 となると側面に巨大な広告が入っているので、なるべく正面がちに極めたい…となるとかなりビューポイントは限られてしまうのだった。 そこで今日は榎本の駅へ。かつて貨物の取り扱いをしていただけに構内は広く引きが取れる。駅裏の開発中の空き地からペンタ400で撮影。

07・02・02 榎本駅 NikonF5 AFNikkor80-200oF2.8 RVP100
撮影後、八木蒔への短絡路を使い四箇村へ先回り。途中桃浦付近から低速車に先を阻まれ、踏切についたのは警報機が鳴る数秒前だった。 落ち着いて構える間もなく、F5手持ち1発で後追い。テールライトが気になるが、一応バリ順光線で定番を押さえることができた。

 07・02・16 浜−玉造町 NikonF5 AF-INikkor300oF2.8 RVP100

通学列車が単行になってから一番撮りたかったのが、ベタではあるが定番のここだった。霞ヶ浦バックでバリ順、しかも側面の広告が 目立たない。早速、上の写真を撮った数日後に訪れたが、その日は残念ながら突発雲にやられて失敗…。リベンジを誓ったがなかなか再 訪できないまま日は流れ、2月中旬頃から全車にさよならヘッドマークが付いてしまった。だが、HM1枚でXアングルを諦めるわけに はいかぬ。マークは覚悟でもう一度チャレンジし、今度は文句なしの最高条件で獲物を仕留めることができた。

 07・02・16 榎本−玉造町 NikonF5 AF-INikkor300oF2.8 RVP100

返しはもう撮る場所が浮かばなかったので、榎本と玉造町の間で日が当たっている場所を探す。以前夕方のキハ600を撮った踏切付近がま ずまずだったのでセッティング。正面撮りだからサイドが翳っているのはご愛嬌ということで…。

 07・03・18 浜−玉造町 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)
3月に入るといよいよ沿線は撮り鉄・乗り鉄でフィーバーするようになり、日中の旧型スジでは増結が度々行われた。金太郎は金太郎同士で 手を組み、キハ602の相棒にはキハ714が選ばれた。しかもこのコンビが昼前から夕方にかけて3往復!お陰で普段日中はなかなか見られない ヤツの雄姿を存分に目にすることが出来た。

 07・03・18 常陸小川−四箇村
 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)

鹿島鉄道キハ714。80系湘南電車やゴハチの系譜を受け継いだ正面2枚窓の老兵も、間もなくその活躍に終止符を打つ。



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