Memorial GALLERY


 2021.05.19

2019.05.19 八郎潟−鯉川 NikonD850 AF-SNikkor300oF2.8VR ISO200

例年なら5月中旬から下旬は、水を張った田んぼ、山笑う新緑、そして青空の下吹き抜ける爽やかな風…と鉄日和が続くはずだった。ところが今年はどうだろう。 例年より2週間近く早く桜が満開を迎えたと思ったら、4月半ばには各地で青葉が山を彩った。とにかく、季節の巡りが未だかつてないくらい速い。 そして、まさか…と思っていたらそのまさか。5月も半ばに東海から西に梅雨入りが発表された。 関東以北はまだだが、この週間予報を見る限り、実質的に全国梅雨入りとみて間違いないだろう。いやはや、これでは9都道府県だけでなく、天気までもが緊急事態宣言である。

さて、この年は風薫る最高の季節に秋田支社プロデュースの急行「津軽」が運転された。ED75が12系6両を牽いて奥羽本線の名所を駆けるとあらば黙っていられようはずがない。 土曜に仕事を終えて羽田空港に直行。最終便で秋田に飛びレンタカーを借り受けて沿線に繰り出したのだった。 派手なマークが付くとのことで、狙いは一面水鏡の広がる八郎潟の高岳山俯瞰一択だった。 往路は光線が硬いながらも、寒風山バックで思い通りの1枚が撮れて大満足。 さて、返しをどうしよう?編成重視で撮るなら順光になるストレートは何ヵ所もあるが、とにかくマークがいただけない。 寒風山で軽く観光しながら悩んだ末に、朝登った高岳山に戻ってきた。

地図と通過時刻を付き合わせると、上手くいけば山上から夕日に輝く水田にカマと客車のシルエットが抜けそうな雰囲気である。 時間もあるのでとりあえず朝の立ち位置までアタックするが、いざ着いてみると太陽の角度がイマイチよろしくない。 編成撮りで妥協するか?と一度下山しかかるが、そこへナナゴフリークのぐっちょん氏御一行がやって来た。 定番のさらに奥まで登るといい方角に陽が落ちるかも…ここは賭けるしかないでしょう!と鼓舞されて、再び獣道を上へ上へと辿る。 果たして、定番から進むこと15分でヨコがちに下せる立ち位置に出た。ここなら角度もバッチリである。刻一刻と黄金に染まる田園風景に我々の胸も躍る。 ぐっちょん氏の口ずさむ金曜ロードショーのテーマに乗って、客車列車の軽快なジョイント音が響いてきた。



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