撮 影 機 材 紹 介 〜OLYMPUS OMシステム〜


OLUYMPUS OM-1  今を遡ること20年ほど前のこと、 私の中学進学を祝って叔父が譲ってくれたのが50oF1.4付きのOM−1だった。以来、 小柄で精悍なブラックボディは、休日早朝の東京・上野両駅の散策や18きっぷの鈍行乗り鉄の旅のお伴となってずいぶん活 躍した。だが、悲しいかな、ド素人のガキにはシャッター速度・絞りといった概念はさっぱりわからない。EF62の「能登」 や583「ゆうづる」、八高のタラコ30や鶴見のクモハ12など希少な被写体を手ブレ動態ブレの犠牲にしてしまった(汗)。やが て、長年教会撮影のため叔父にヨーロッパを連れ回されて寿命がきたのか、中3の頃から光線引きにシャッタームラと故障 が頻発。ついに1993年をもって1号機は現役を退いた。
 現行の2号機は高校進学の際に「どうしてもOM−1がいい!」と中古カメラ店を回って両親に買ってもらったものである。 後に叔父から転配されたZUIKO 75-150oF4や写真部から強引に借り出した35-70oF3.5-4.5などを連れて高1の夏は北海道 に遠征。C62も深名線もコイツで撮った。浪人の時の碓氷峠も、大学時代前半の久大も常紋も、青春時代の思い出はみんなこ のカメラで記録した。今でこそ第一線での活躍から遠のいているが、先年修理に出していまだにシャッターは健在。たまには 本線復帰も果たしてみたいものである。



ZUIKO 50oF1.4  初めに叔父に貰った50o は知らぬ間にどこかにぶつけたか(中学生の頃はカメラバッグなど当然持っておらず、その辺の鞄に適 当に放り込んでいた。 そりゃあぶつけますわな)、ヘリコイドが歪んでピントリングが回らなくなってしまった。これは後に中古 で買った2代目である。 当時は知らなかったが、レンズ先端の淵が黒く塗られているマルチコート仕様の後期型。コントラストな どが向上しているらしい。
 オリンパスのズイコーレンズは全般にシャープで硬めの写りに定評があるがこの 50oF1.4は、カメラ雑誌などの評価によると、 開放は甘く柔らかい描写で絞るほどにコントラストが上がっていきf5.6位で性能をフルに発揮するという面白い性質をもつらしい。 まぁ、自称カメラ評論家たちの言う「柔らかさ」とか「味」とかというのは胡散臭いものだが、鉄で使うのはf4〜5.6である。確 かにシャープネスは高い。古いポジを見返しても、コイツとベルビアやKRの組み合わせで撮ったカットは、普通に見る分には今の 写真と比べても引けを取らない。もはや撮ることの叶わない過去帳入りした列車たちをこのレンズで切り取れたことは、今振り返っ てみると幸せだったと思う。
ZUIKO 85oF2  OMシリーズが先発メンバーから外れた後、社会人になってから出来心で購入したのがこのレンズ。それまでは50oの次が100oだ ったので、確かにその間を埋める85oか90oが欲しくないわけではなかった。でも、すでに35o判の主力はニコンに移行済み。別に必 要に迫られてはいなかったのだが、ついつい中古で安値がついていたのを見て衝動買いしてしまったのだった。
 これはレンズ先端が銀枠のモノコート仕様。初期型に相当するが、他の100o・135oもモノコートなのでお揃いなのがかえってよろ しい。そう、OM−1には銀枠が似合うのである。ただ、手に入れたときにはもうOMが控えに回っていたため描写がどうこうと言え るほどには使い込んでいない。そんな私が一つだけ言えるのは、その小ささだろうか。サイズは何と標準50oとほぼ同じ。小型軽量で 一世を風靡したOMシリーズの神髄を見る思いである。

 でも、本当は奮発してマクロ90oF2とか買ってた方が良かったかなぁ〜と思わなくもない今日この頃である。
ZUIKO 100oF2.8  現在手元にあるズイコーレンズで最も付き合いが長いのがこの100oF2.8。確か高1の冬にお年玉を握りしめて新橋の中古店に行き、 1万9千円だったのを必死で値切って買った覚えがある。というのも、それまで何の疑問もなく使っていた75-150oF4の歪曲収差の 大きさに気が付いてしまい、これは単玉でなければいかん!との思いを強くしていたからである。75-150oはシャープネスに関しては 今でもカメラ雑誌でなかなかの高評価を得ているが、やはり機械モノである鉄道を撮るときに四隅が歪んでいるのはいただけない。古 いズームには限界があるのであった。
 翻ってこの100oF2.8。ズイコーシリーズでは銘玉中の銘玉と称される100oF2には叶わないのだろうが(F2は使ったことがない ため比べられません…)、これはこれで結構よく写る。85o同様、小型軽量で携行性に優れるのが徒歩鉄だった学生時代には大変ありが たかった。ただ、両毛線の激パした撮影地でハスキー全開の上にこの100oを付けたOMを載せていたら、「セッティングはまだ?カメ ラ構えないの?」と前列の鉄に言われてしまったことがある。これは屈辱だった。その時はあまりのショックにOMを片付け、マミヤ 645の1丁切りで本番を迎えたのであった。
ZUIKO 135oF2.8  先述の75-150oを手放し、代わりに手に入れたのが 135oF2.8 だった。100oに続く Fニッパシリーズの第2段。 これも銀枠の モノコート仕様である。 ズイコーの135oにはF2.8とF3.5の2種類があったが、ここは“走り”で勝負をする鉄の世界、開放は半段 でも明るい方がありがたい。 そんなわけで、中古価格で5千円ほど高かったF2.8を高校の終わり頃に中古店で購入した。
 何故かレンズ批評やOMシリーズのムックの類では全くと言っていいほど取り上げられていないが、各社とも銘玉多い焦点距離だけ あってコイツもなかなか鋭い描写をする。釧網貨物から碓氷峠、筑豊・久大の客レや名鉄谷汲線などの撮影で数々の“X”をもたらし てくれた。それと、もう一つ気に入ったのがその形。50oも100oも口径の割りに長さがなくて“長玉”らしさに欠けたが、さすがに135 oともなればシルエットは長方形である。これぞ望遠! 今思うと大した焦点距離ではないが、機材に乏しかった若かりし日には、この 姿がとても輝いて見えたものだった。
 後にもっと堂々たる姿の180oF2.8を購入した。これも雑誌の評価と異なりいいレンズであったが、ニコンに宗旨替えする際、望遠 ズームの購入資金として泣く泣く放出。結局今も残っているOM最長レンズはこの135oなのであった。
ZUIKO 180oF2.8  浪人時代の碓氷通いで最長135oまでのラインナップではオハナシにならないことを痛感した私は、200oクラスのレンズを探してZUIKO 180oF2.8に行き着いた。OM用の望遠には泣く子も黙る白レンズ180oF2や手頃な200oF4、コンパクトさが売りの200oF5など多士 済々のレンズ群が揃っていたが、F値と価格のバランスを考えるとコイツがベスト。大学に入る頃に中古で購入した。
 カメラ雑誌などでは描写が柔らかいの芯が甘いのと書かれているこのレンズだが、実際使ってみるとベルビアやKRとの組み合わせでは バリバリにシャープ。真冬の常紋峠から炎天下の久大まで、各地で激Xを生み出した。しかし、ニコンシステムを導入する際に貧乏学生の 金策の一環として泣く泣く放出。お気に入りの1本はニッコールの80-200oに化けてしまったのだった…。
 あれから12年、カメラ界はすっかりデジを中心に回るようになり、ネットオークションにはかつての銘玉が格安で流れるようになった。 ふと何の気なしに見ているとOMの180oが2万円で出品されていた。つい出来心で1発クリック。さすがにこの値は破格だったようで、終 了5分前からの激闘でお値段は2万5千まで上がったが、それでも中古相場の約半額。気づけば本気でコイツを競り落としていた。さて、 買うときは夢中だったが、この先どうやって使おうかな(汗)。



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