鉄路百景 GALLERY08.ブルートレイン★Collection 01

GALLERY08 ブルートレイン★Collection

1.ブルートレイン★Collection 〜北海道編〜

ブルトレの退潮が止まらない。ここ数年で一体何本の伝統ある列車が走り去っただろう。 2005年春に元祖ブルトレ「あさかぜ」、戦前から の名門「さくら」が姿を消し、秋には「彗星」がひっそりと終焉を迎えた。06年には原色DDが人気だった「出雲」が廃止され、つい先日 は東海道の名脇役「銀河」と関西発着最後の九州特急「なは」と「あかつき」がその活躍に終止符を打った。長年日本の鉄路を夜を徹して 走り続けたブルートレインがいよいよ両手で足りる数にまで減ってしまった今、一つの転換点が確実に迫ってきている。鉄道少年だった頃 の憧れは、果たしていつまでファインダーの中にその勇姿を描き続けてくれるだろうか。

昨今のブルトレを取り巻く環境の急激な悪化を振り返って、ふとこれまで自分が撮り溜めたポジファイルを紐解いてみた。恥ずかしながら ブルトレのポジはそう多くはなかった。 どちらかというと私が追ってきた被写体は非電化ローカルの国鉄型キハや私鉄の旧型車が中心で、 本線系優等列車は廃止間際の駆け込み撮影か、周囲に煽られて出撃した夏場の朝練の成果くらいしかない。“ブルートレイン” をメインテ ーマに長年熱心な活動を続けてこられた諸兄には決して誇れるものではないが、それでも今回の改正を一つの機会として、足早に去ってい く彼らの姿を紹介していきたいと思う。



道南のブルトレ群に初めて注目したのは2005年のことだった。それまでは北海道といえば、やれ常紋だやれ宗谷ラッセルだと奥地にばかり 目がいって、本州に近い道南地区の青いDD重連はすっかり灯台下暗しになっていた。しかしコサカミ氏をはじめ周囲のDDフリークから 「複線非電化でDDがダブルで長編成の客レなんてもう日本全国探してもここしかない!」と焚き付けられ、僅か4日と短い夏休みだった が、ついに我が車は津軽海峡を越えることになった。

が、夏場の海線は晴れない…!毎日のように噴火湾から立ち上る海霧で、沿線は必ずといっていいほど早朝から悪天候。視界の利かないフ ァインダーに、幾度2灯のヘッドライトを見送ったことだろう。晴れないとシャッター切らない主義の私では、1行程でブローニー1本使 い切るのにもずいぶん苦労したものだった。この夏のツアーでは、曇天の下ロケハン&草刈りで2日、小樽近辺の711系撮影と札幌の友人と の飲みで1日を費やし、まるでブルトレは仕留められず。ようやく最終日の午後になって青空がのぞき、上り「トワイライト・エクスプレス」 を迎え撃つチャンスがやってきた。

05・08・15 長万部−旭浜 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1)
ポイントは静狩−旭浜 (当時)。 朝の下り定番のオーバークロスの逆アングルである。光線はバリ順でペンタ300 or 400で編成ピタリ。この ツアーで唯一の好条件ゆえ、いつも以上に気合が入る。ピントよし、露出よし、前後のバランス・天地のバランスよし。全てを入念に確認。 やがて遠方にライトが見えた。大地を揺るがすような轟音と共に「トワイライト・エクスプレス」が登場。西日を受けて輝く青いカマは、紛 れもなくスターの風格。金色のナンバープレートがクッキリと像を結んだ瞬間を1000分の1秒で切り取った。峠で地道に貨物輸送を支える 姿もカッコイイが、優等列車の先頭を張る勇姿にもあらためて魅せられた1カットだった。



翌2006年は、「エルム」が夏臨で終わるという情報に煽られて2年連続のマイカー渡道。ただ、この年は比較的ガッツリ休みが取れたので、 行き掛けの駄賃に北東北も攻めた。山田・花輪両線の国鉄色キハ、小坂鉄道の貨物、それに奥羽本線で「あけぼの」「日本海」などを仕留め てから、深夜のフェリーで函館へ。草木も眠る丑三つ時に「はまなす」で現れたLIBERTY氏と合流し、道南ブルトレ狩りが始まる…はずだっ た。

しかし、やはり夏場の北海道ブルトレは手強い。翌朝、まずはED79「北斗星」を撮ろうと知内駅に行くも、カメラを出す気すら失せる霧雨 模様で撃沈。その後函館市内をショートカットして大沼に先回りしたが、ここも曇天で惨敗。そんじょそこらの気象予報士より天気にウルサ イへっぽこ氏&★氏が飛行機のチケットを無駄にしてまでトケただけあって、それから3日間、私とLIBERTY氏のチームは各所で敗北を喫し、 手元には曇天「エルム」とちょい晴れ4091レの写真だけが残ったのであった…。

06・08・13 北舟岡駅 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1)
ところが、奇跡は起こった!家族運用のため1日早く撤収するLIBERTY氏を洞爺駅で見送った後、ダメ元で北舟岡の駅に行ってみた。すると、 午後になってから急速に雲が切れ、上空に青空が広がり始めた!これなら「トワイ」くらいは撮れるかもしれない!! 喜び勇んで跨線橋の上 にセッティング。駅のすぐ前に広がる海原は群青に染まり、背後の丘では乾いた風にエルムの木が枝を揺らす。8月の高い太陽も、15時を 回ると景色に陰影を彫り込む角度まで高度を下げてきた。さぁ来い「トワイ」16時少し前、DD重連にエスコートされたダークグリーン の豪華編成は、甲高いホイッスルを響かせて私の足元を颯爽と駆け抜けて行った。



過去2年、お盆休みに訪れては返り討ちに遭っていた北海道のブルトレ群。2007年シーズンは、負け戦には最初から挑まないことにして、 夏は北東北巡業に時間を割いた。課題山積の道南を攻めたのは虫の音響く秋に入ってから。チバラギ氏に誘われて、秋分の日連休に突発で 函館に飛んだ。この時期になると朝晩を中心にグッと気温が下がるようになり、ブルトレ撮影の難敵、噴火湾から発生する海霧に悩まされ ることもなくなってくる。今回は直前まで天気予報をじっくり吟味したこともあり、3日間の行程でようやく溜まりに溜まった脳内Xアン グルをフィルムに焼き付けることができた。

07・09・22 大岸−礼文 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)
初日は朝一のAIR DOで函館入り。予報の割に雲が抜けず天気がイマイチなので、まずはのんびりレンタで沿線を流す。めぼしいポイントを 数ヶ所ロケハンし、夕方大岸−礼文のカムイチャシ史跡で先行していたチバラギ氏と合流した。すると、さすが晴れ男×2パワーか(?)急 速に太陽周辺の雲が切れ、16時を回るとエロ光線の完全バリ晴れに!影が伸びてきたのが気になるが、ここは敢えて漢の勝負!! 海辺の複線 非電化を行く「トワイライト・エクスプレス」をペンタ400で迎撃した。


2枚とも:07・09・23 旭浜−長万部 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1)
翌朝は日の出から文句なしのド快晴。海峡線にED79の「北斗星」を狙いに行ったチバラギ氏からも勝利確定宣言のメールが届く。私は、基本中の 基本アングルながら数年来の課題となっていた静狩のオーバークロスに三脚を据えた。単調な潮騒を奏でる噴火湾に一筋の光が走ると、水平線から 神々しいほどの御来光。 道床がオレンジ光線に染め上げられると、遥か遠方に見える長万部の街を抜けてくる2灯のライトが確認できた。まずは 大阪からの「トワイライト・エクスプレス」が下りブルトレ群到来のの口火を切る。早朝のスジゆえ秋でも正面に日が回り、ピンクのマークが青い カマと絶妙なコントラストを見せてくれた。

約20分の続行で関東からの「北斗星1号」がやって来る。際どい時間の上り貨物がファインダーから消えると同時に、長い直線にDD重連 が登場!あまりに見通しが良いためゆっくりに見えるが、2両のカマは全力で唸りっぱなし。前照灯を現認してから数分後、ようやく大地 に轟音を響かせる14両編成がファインダーに納まった。

07・09・23 豊浦−大岸 NikonF5 AFNikkor300oF4ED RVP100
「トワイ」から「斗星1号」までの第一陣を撮り終えて豊浦へ移動。一昨年の夏は「エルム」狙いで汗だくになりながら線間の草刈りに精 を出したのに、全日程どん曇りという歴史的大敗を喫し勇気ある撤退を強いられたんだっけ…。よし、今日こそそのリベンジや!迷わず2 年前に構えた伐採地の丘に三脚を据えた。中判はペンタ400、35ミリは300ミリで共にタテ位置でセッティング。ペンタ400だと背後の噴火湾 がきれいに入るものの線路脇の道路をカットすることができない。35の300だと道路はいいが海が少ししか入らないのがもったいない。どち らも一長一短なので両方構えてみたが、な、何と!交通量の少ない線路脇の道を、あろうこことか「北斗星」と同時に軽自動車が併走…。 こればかりは仕方がない、ここでは35判の写真を載せることにする。

07・09・23 大岸−礼文 NikonF5 AFNikkor80-200oF2.8 RVP100
バリ晴れの1日の締めは夕方の上り「トワイ」。だが、夏場と違って日の低い秋口では、どこでどんな角度から日が当たるのか見当をつけ るのが難しい。とりあえず昨日段階で日照時間帯だった大岸付近が無難に撮れそうだと踏み、今日は線路際で被り付くことにした。通過30 分前に構えたときには正面光線だったが、徐々にサイドに日が回り始めた。背後にチラリと港を配して首を振ったところを狙う。背後の洞 爺湖サミット会場はご愛嬌。16時半頃、ファインダーに躍り出た「トワイライトエクスプレス」は、日没寸前の夕日に照らされてギラギラ と輝きながらファインダーを駆け抜けて行った。

天気予報は翌日も晴れ。晴れる限りは骨の髄までしゃぶり尽くせ!というわけで、マルヨは伊達紋別の道の駅。明朝は数年来夏に撃沈し続 けている北舟岡−稀府の海バックを狙いたい。一方のチバラギ氏は、海峡線のナック「斗星」にもう一度チャレンジするとのことで函館方 面へと上って行った。さぁ戦果は如何に!?


2枚とも:07・09・24 北舟岡−稀府 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)
畑の突端のベスト位置を占領すべく夜明とともにアングルに先行。晴れは晴れでも“バリ”がつくほどではないのがやや心配だが、東の空 は雲もなく露出は満点で頂けるだろう。この好条件でかつ夢空間の団臨もあるのに、他の鉄ちゃんは後から現れた1人だけ。ちょっと肩透 かしを食った形だが、北海道くんだりまで来て大して広くもない場所でホモ撮りするのも御免だし、何よりバケヨンのアップ狙いは集中力 が命。撮影地人口は少ない方がありがたい。

しばらくして低い朝日が線路に差し込み始めた。よしよし、日の出の方角の稜線を見て一安心。タイミングよくチバラギ氏からもX確信の メールが届く。テンションが上がったところでいよいよ先陣を切る「カシオペア」がやって来る。背後の踏切が鳴ると、重低音のDDサ ウンドの響かせて、噴火湾沿いのストレートに渋く輝くシルバーの編成が登場した。

続いて「北斗星1号」が桧舞台に現れる。僅か十数分の差だがだいぶ光線が落ち着き、影も短くなった。「カシオペア」同様唸りを上げて カッ飛んで来るDDを視線の先でロックオン。ナンバープレートがクッキリと像を結んだ瞬間にガッチリレリーズを押し込んだ。

07・09・24 有珠−洞爺 NikonF5 AFNikkor300oF4ED RVP100
数年来の課題を無事にこなし、次の「北斗星3号」は北入江(信)のSカーブへ移動。ここも昨年LIBERTY氏・キロラー氏と最後の「エルム」を撮り に行き、曇天で返り討ちにあった因縁のポイントである。車の停め位置から僅か100m程だが、周囲の状況からは信じられないくらいの藪の 中の急斜面。しかもたった1年で周りの木々が猛烈に成長し、まるで別の場所かのように撮りづらくなっていた。幸い他に鉄ちゃんはいな い。クマの出没が恐い代わりに、限られたポジションでベストの場所をキープすることができた。足首が曲がりそうな斜面でペンタ400 と35 判 300oの2丁をセット。 体勢は苦しいが、願い通じた好天の下、絶対激X極めないことには帰れない。先行のDF貨物はバッチリ押さえた。 そして遂に「北斗星3号」。心の準備はできている。いつでも来やがれ!青一色の長編成が常紋峠のようなSカーブに見事な弧を描く姿を、 2台のカメラは完璧に切り取った。67判は以前「撮影日記」で挙げたので、今回は35oのコマを紹介しよう。

宣言通り、これで無事に引き上げることができる。大岸−礼文で再度チバラギ氏と待ち合わせて原色DD牽引の4091レを撮り、氏は函館空 港から飛行機で、私は駅から「白鳥」〜「はやて」と陸路でそれぞれ帰路に就いたのだった。



前回の秋のブルトレツアーから2年。北海道の貴重なターゲットの1つ国鉄色のキハ183が引退することになった。最後のイベントとして 10月に1回、11月に1回、道内一周のリバイバル特急を運転するという。初回は「おおぞら」(函館〜札幌〜釧路)→団臨(釧路〜網走)→「お おとり」(網走〜札幌)→「北海」(札幌〜函館)という行程。幸い体育の日の3連休にかかっており、比較的動きやすい。早々に参戦を表明し たチバラギ氏に誘われて、私も金曜の最終便で千歳入りすることにした。

空港で氏のレンタに拾っていただき、一路西を目指す。明朝のポイントは長万部付近。キハ183は定番のSカーブを第一候補にしている。な らばブルトレもその近辺で勝負するのがよいだろう。予報の割にすっきりしない夜空を眺めながら、交通量の少ない国道37号を流した。


2枚とも:09・10・10 旭浜−長万部 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP(+1)
深夜の中ノ沢駅で力尽きてマルヨ。相変わらずのモヤモヤ空に一抹の不安を感じながら寝袋に包まった。しかし!翌朝携帯のアラームで目覚める と、目の前に広がる噴火湾は水平線から見事な紫のグラデーションに染まっていた。おぉ、これはド快晴の予感!気象庁発表が晴れ後雨でイチか バチかの勝負で飛んできただけに、予想外の展開にテンションも急上昇。バタバタと身支度を整えてアングルに向かった。

接近戦のチバラギ氏と別れて、私は定番の静狩オーバークロスへ。目的を同じくする同志イチロー氏・Sケン氏のグループとバッタリ遭遇して三 脚を並べる。前回来たのは日曜日。「トワイ」と「北斗星」しか撮れなかった。今日土曜なら「カシオペア」を極めることができる。ペンタ400と サンニッパを並べ、主役たちの登場を待った。

秋口のこの区間は、DDが実にい光線でやって来る。道南ブルトレの先頭に立つ青いデーデーは、日の当たる角度によって色合いが様々に変化する。 夏場の日が高い時間帯の爽やかなブルーもいいけれど、私には低く鋭い光を浴びた濃紺が一番のツボ。最高のコンディションで道南の雄を迎え撃つ ことができた。

09・10・10 長万部−静狩 PENTAX67 smcPENTAX90oF2.8 RVP(+1)
キハ183「おおぞら」を迎え撃つべく、長万部のSカーブへ。貨物をデジ撮りし、ペンタ400で4両ピタリの構図を決める。時刻表を見ると、本命の少 し前が「北斗星」の時間。だが、この画角でカマ込み14両の「北斗星」はとても無理。とはいえ本番直前に慌ただしく立ち位置を変えるのも不安であ る。と思ってレンズを雲台に残したまま、ボディだけ外して90oを装着。いいねぇ!これなら長編成もバッチリ載りそうである。顔がブレる可能性も あるが、背に腹は代えられぬ。ダッコちゃんにカメラをセットしワインディングを駆け抜ける青い流れ星を切り取った。



道南ブルトレは秋がいい。過去数年の教訓から、今年も体育の日連休に渡道を企てた。ウ●情誌のフ●ヤカメラの広告によると、この時期は落部−野 田生で「カシオペア」が朝日に輝く模様。青函トンネル工事の関係でスジが繰り下がって以来、もう撮れないと思っていたギラギラの寝台特急を求め て、東京12時56分発「はやて27号」の客になった。

新青森まで約3時間半。いつも車で一晩かけてボロボロに疲弊しながらやって来る青森までこんなに簡単に着いてしまうとは!まぁ、その分コストも かかっているわけではあるが、なかなか感慨深いものがある。新青森からは「スーパー白鳥27号」に乗り継ぎ、一路北の大地へ…向かうはずであった。 だが、ここで思わぬトラブルに見舞われた。青函トンネル内の信号故障のため、竜飛海底−吉岡海底間で先行する「スーパー白鳥25号」が立ち往生。 私の乗った列車も蟹田駅で抑止を食らうことになってしまったのである。困ったのはレンタカー。昔みたいに函館駅前営業所が24時間開けているなら 何時間遅延したって構わないのだが、近年の合理化でレンタ屋の営業時間は20時まで。所定だと18時53分着なので1時間余りの余裕はあるとはいえ、 抑止が長引かないとも限らない。下手にトンネルに入ると連絡手段が途絶えるため、念のため今のうちに電話で営業所のおねーさんと交渉。とりあえ ず20時半までは待ってもらえることになった。

予感は的中。1時間ほどの抑止の後に我が列車もトンネルへ突入するが、やはり中で信号系統のトラブルに巻き込まれて30分ほど要らぬバカ停をかま され、結局大遅延の末に函館に着いたのは20時40分だった。木古内時点でおねーさんに懇願電話を入れておいたおかげで、駅前の赤いNマークはまだ 煌々と明かりがついていた。缶コーヒーを1本差し入れて、無事2日半の足兼宿となる車を借り出すことができた。

11・10・08 落部−野田生 NikonD700 AF-SNikkor70-200oF2.8VRU ISO200
その夜は森付近でマルヨし、翌未明、ようやく今回の第一目的地、落部−野田生の定番に立った。薄明るくなる水平線には早くも先客のシルエット。考え ることは皆同じようである。マゼンダのグラデーションに漁火が輝く光景をデジで撮るうち、徐々に周囲が明るくなってきた。上空はキンキンの星空。だ が…どうも水平線付近がスッキリ抜けていない。微妙な靄から顔を出した太陽は、まるでクロード=モネの「印象 日の出」。当然光線のパンチも弱い。 う〜ん、苦労の末がこれかぁ…。条件の悪さに肩を落とすが、あと10分弱で通過時刻。今さら移動も叶わない。とりあえず後からどうにでもなるデジをメ インに「カシオペア」を迎え撃った。

11・10・08 礼文−小幌 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP50(+1)
遠景が利くド快晴ではないだけに、確実な勝利を求めるなら近景のアップ構図に走るしかない。「北斗星」は礼文の直線でやろうと移動。ペンタ400でトン ネル抜けの直線を狙う。DF貨物を数本撮ったあと、定時から若干遅れて青いデーデーが現れた。やれやれ、これで何とか戦果を持ち帰ることが出来た。

11・10・08 北舟岡駅 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP50(+1)
日中は山線のSLに転戦し、夕方には洞爺湖の畔を南下して北舟岡へ舞い戻って来た。この時期上り「トワイ」を非電化区間で撮ろうと思ったらもうここし かない。一時期貨物との交換が設定されて撮影できなくなっていたようだが、幸い前回の改正で稀府交換に変わったらしい。通過30分程前に駅に着くと、す でに先客が1名。よく見ると、何と湘南ナンバー氏であった。本当に、日本は狭い!以前はペンタの165oで撮ったので今日は300oで。 間もなく、日没間 際のエロ光線に照らされた濃紺のDDがファインダーに飛び込んできた。

Xを頂戴した後は、近くの湯らん銭で汗を流して、いざ森へ!今日の午後から単身出撃中のパンダの運転手師匠から宴のお誘いである。道の駅YOU・遊・もり に車を置いて駅前で師匠行きつけの店の暖簾をくぐる。一仕事やっつけた後の海の幸は、最高だった。

11・10・09 長万部−静狩 PENTAX67 smcPENTAX400oF4ED RVP50(+1)
駅前ホテル宿泊のパン運師匠と別れ、私はいつものカーマルヨ。冷えた空気とアラームで目を覚ますと、未明の空には今朝も星が瞬いていた。よし!早速エンジ ンを始動し、東に進路をとる。今日はどこで撮ろうかな?同じく渡道中のどすこい氏からは、長万部Sカーブに向かうとの連絡。私もその後を追うことにした。

2年前、キハ183メインで来た時には標準で撮った同じS字を、今日はペンタ400で詰めて切る。どすこい氏の経験値によると、ポール6スパンで12両が載るとい う。アングルはバッチリ。天気も昨日に比べてモヤが少ない。今日は行けるだろう。惜しむらくは日曜なので「カシオペア」がないことくらいか。間もなく、オ レンジ色の朝日がレールを照らし始める。さぁ、いつでも来やがれ!しばらくすると、ダークグリーンの客車が長万部の街を抜けてくるのが見えた。

11・10・09 静狩−小幌 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP50(+1)
次の「北斗星」までは約1時間のインターバルがある。同じ場所で撮るのも芸がないし、アングルを変えようか。どすこい氏は礼文のカーブに行くとのこと。私は 立ち位置が狭まりつつあると言われる静狩カーブの俯瞰を押さえておくことにした。

何人かの鉄ちゃん仲間から伝え聞いていた行き方を思い出しながら獣道を進む。1箇所、僅かに木々の切れ間から線路を見下ろせる場所があった。ここか?いや、 狭過ぎだろう。だが、機材を置いて急斜面を散策するも、他に抜けている所は見当たらず。結論としては初めに見つけた場所が正規のポイントであるらしい。いや はや、樹木の生命力には驚くばかり。もはや両側から枝が迫り、安定した足場からはカーブの奥しか切り取れない。手前まで列車を引っ張るには崖につながる急斜 面に三脚を立てるしかなかった。

ハスキーの足を1本だけ全開にしてセット。エレベーターを伸ばしたり縮めたりしながら、Y字に分かれた木の幹の合間に雲台を合わせる。2台切りは当然無理、 ペンタ300oの1本勝負である。さっぱりわからぬ編成長は、DF貨物で当たりを付けてポール7スパンと判断。斜めの地面に足首を捻じ曲げられながら、ようやく 準備が整った。8時半過ぎ、はるか遠方に1本の青い筋が見えた。静狩のオーバークロス付近を走る「北斗星」の姿のようだ。露出よし、水平よし、巻き上げよし! 苦しい体制で覗くファインダーに、堂々14両編成のブルートレインが美しく弧を描いた。



GALLERY 08トップへ 次ページへ