撮影日記−新作公開−




















































NO. 611
DATE 09.05
611.DD51「DLやまぐち号」 白井アンテナ山俯瞰 
2021.05.03 山口線 津和野−船平山 NikonD800 AF-SNikkor70-200oF2.8E FL ISO200
  昨日までの雨のせいか、斜面はズルズルで気を抜くとすぐに足を滑らせてしまう。尾根筋に向けて、木の幹を結
 ぶように垂らされたロープを頼りに少しずつ高度を上げる。だが、しばらく進んだところで思わず息をのんだ。先行
 している達人諸氏から「相当キツイ」と電話で聞いていたが、ここまでは「意外にそうでもないな…」と甘く見ていた。
 しかし、目の前に聳える崖のような急斜面は何だろう。これはもはやヒルクライムというよりボルダリングである。ボ
 ディ2台にレンズは35o・50o・70−200oと機材を絞ってきたつもりだったが、背中のザックの重みが一気に増し
 た気がした。ときに四つん這いになり、枝に体重を預けながら悪戦苦闘すること約40分、ようやく急斜面を乗り切り
 頂上に出ると、いつものメンバーの談笑の声が聞こえてきた。




















































NO. 611
DATE 09.05
 
  上り「やまぐち号」の撮影名所が連なる津和野−船平山間において、最もハードルが高いと言えるのがここ、通
 称“白井のアンテナ山”からの俯瞰であろう。 SLの愛好会の方々によって手入れされているとはいえ、急斜面直
 登の1時間コース。 これまで幾多の俯瞰場所に立ってきた経験をもってしても、斜度に関してここまでハードな場
 所はそうそうお目にかかったことはない。それでも眼下にU字を描く二条の鉄路とバックに聳える青野山の端正な
 姿を見れば苦労も一気に吹き飛ぶというものである。
  到着時は雲が多かった空も、集まった猛者たちの願いが通じたか、どんどん青空が広がってゆき、津和野交換
 のキハが通過する頃にはド快晴になった。しかし、本門前劇場の悲劇に代表されるように、夕方の津和野盆地は
 これまで幾多の鉄を泣かせてきた鬼門の地である。この日も本番10分前に背後の山に影が落ちた。頼む、どけ!
 どいてくれ!すかさずboss氏が叫ぶ。「みんな、弱気になるんじゃねぇ!晴れると信じたら晴れるんだ!!」
  一念岩をも動かすという。 通過直前にゆっくりと雲の影は画面から消え、間もなくディーゼルの咆哮が耳に届い
 てきた。カーブを切って眼下の舞台にDD率いる褐色の客レが登場。嵐のようなシャッター音の後に、今度は我々
 の咆哮が山間に木霊したのであった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 





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