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12月の陽は短い。昼を回って、大平台界隈はどこも影が伸びてきた。このまま帰るのももったいないしと、夏以来
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幾度か訪れている塔ノ沢に立ち寄った。トンネル抜けの構図は、フィルム時代から北陸トンネルの「雷鳥」などで時
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おり見られたが、ゼロ角度のシルエット抜きといった絵に落ち着くのが定石だった。ISO400とか800で高感度とされ
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ていたのだから当然といえば当然である。僅かな照明の光を頼りに動きものをピタリと止めるというのはデジの恩
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恵あっての撮影技法といえよう。しかし、チバラギ氏の格言では「機材の進歩を自分の腕と勘違いしてはいけない」
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その通りである。高感度に強いデジではあるが、ベルビア・プロビアで育った世代としては可能な限り低い数値で
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勝負したい。過去数回の経験値からISO6400に設定した。
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さて、今回はサンニッパにテレコンを付け、地下鉄よろしくトンネル内部をアップで切り取ることにする。下り勾配
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の感じを出すため、列車は奥に置き、手前の線路をヘッドライトの反射で光らせる…イメージはできているのだが、
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如何せん前走りのアレグラ号はLEDのハイビームを食らって画面全体が真っ白け。経験値から弾き出した露出で
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本番一発勝負である。間もなくトンネルの壁が琥珀色に光った。来た!静々と下って来る104号の顔をファインダー
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に捉え、秒間12コマで一斉射撃。顔全体に光が回るのは一瞬である。納得できるカットが数枚だけ手元に残った。
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