撮影日記-新作公開-




















































NO. 534
DATE 12.10
534.SŽ363 貨物 教会の崖Sカーブ俯瞰 
2019.08.15 Slovenske železnice Hrastovlje-Rižana NikonD850 AFNikkor135㎜F2DC ISO200
  前回のアングルで夜行列車の後も数時間粘ったが、ゲンコツSŽ363牽引の貨物列車は1本しか来なかった。スロ
 ヴェニア国鉄では、貨物はドイツ・シーメンス社製の量産型電機“タウルス”や“ベクトロン”と共通運用のため、光線
 のよい時間帯に効率よく撮れるかどうかは運次第。 もう後がないコペル滞在最終日だが、一応最高条件で1発は
 押さえられたということで及第点をつけ、移動することにした。次は行き掛けに目を付けていた、小さな石造りのロ
 マネスク風教会がある崖の突端からの俯瞰アングル。アマゾンを思わせるような一面緑の木々に覆われた中を、
 線路がゆったりとS字を描いて眼下に伸びる。いかにも長編成の貨物列車向きのポイントである。
  目立った人工物をカットして線形強調で行くなら135㎜、遠景のカルスト地形らしい岩肌と稜線まで入れるなら105
 ㎜。悩ましい時はガタガタ言わずに2丁切りである。俯瞰シフトで、高画素機のD850とD800をセットした。
  この後ヴァッセンまで500km超の移動を考えると、あまり長くは粘れない。来るなら早く来てくれ…そんな気持ちが
 通じたかのように、遠方から赤いゲンコツの姿が見えてきた。かつての(といっても私の世代では知らないが)狩勝
 を思わせる、海外派の諸兄なら集通鉄路の経棚峠を彷彿とさせる線形ゆえ、画面に入らないはるか左手から列車
 が右に左にカーブを描きながら近づいて来る様子が延々と見渡せる。唸りを上げるモーター音をBGMに、カマを切
 り位置まで引き付け、ビームが顔にかからないようにだけ注意してレリーズを押した。
  この後は何と3本連続でゲンコツが登場。順光時間帯の入れ食い状態で、「コペルが我々を放してくれない…」と
 関西-D.W先輩と嬉しい悲鳴を上げながら、後ろ髪を引かれる思いでアドリア海に面した港町を後にしたのだった。





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