撮影日記-新作公開-




















































NO. 420
DATE 05.18
420.芭石鉄路 C2型観光列車 菜の花Sカーブ 
2017.03.19 蜜蜂岩-菜子坝 NikonD5 AFDCNikkor105㎜F2D ISO320
  初日の夜から雨が降り出した。蜜蜂岩の駅に隣接する陳先生の診療所の軒先でビール片手に夕餉を囲むうち、
 みるみるホームが濡れてくる。さて、明日はどうなるか?でも、海外まで来てそんなことを気にしたって仕方がない。
 特にここ四川省は、亜熱帯の気候な上に四方を山で囲まれた盆地のため、湿った空気が溜まりがち。過去幾度も
 訪れている先輩方は腹を括っていて、「そんなもん、そんなもん♪」と空模様など気にかけずグラスを傾けていた。
  寝不足の反動で、その夜は早々に布団に潜り込む。たっぷり8時間熟睡して目を覚ますと、雨は一応止んでいた。
 カメラ1台の軽装で、まず段家湾のお立ち台に始発列車を撮影に行く。日中の観光列車の前に走るこのスジは、昔
 ながらのマッチ箱のような古い客車で走ってくる、被写体的に最もオイシイ列車なのである。で、現地で走り去る蒸




















































NO. 420
DATE 05.18
 
 機を見て手応えを確信した。スッキリバリ晴れのいわゆる最高条件ではないが、3月にしてはやや低いこの気温、
 雨上がりの高めの湿度、幾つかの条件が重なって煙が実にきれいに尾を引いてゆく。普段の芭石は急勾配が連
 続する割にドスカもしくはひょろ煙しか出ないことがほとんどなだけに、これは貴重なコンディションである。
  アングルについては、昨日沿線をロケハンして花の咲き具合と共にチェック済み。菜の花と線形のバランスが最
 も好みなS字カーブの見下ろしに三脚を立てた。レンズは105㎜でタテ構図。今日なら画面の上部を埋め尽くす爆
 煙が期待できるはずだ。 しばらくして段家湾のフォト・ラン・バイ発車の汽笛が山間に木霊した。 間もなく派手なブ
 ラスト音が徐々に接近。 林の影から姿を現したC2型は、とてもナローの機関車とは思えないような勇壮な煙を吐
 き出して、狙い通り画面上部を埋め尽くしてくれた。
  だが、オチはここからだった。Ⅴカットに思わず拳を握りしめるも、我々のすぐ横で列車が緊急停止。一体何なの
 か?見に行くと、車掌と機関助士らしきスタッフが降りてきて、なにやらジャッキのようなもので車体を持ち上げよう
 としている。飛び交う中国語はよくわからないが、状況はすぐに把握できた。1両目の客車が脱線していたようであ
 る。確かに背面モニターで見てもカマ次位の客車の角度は不自然極まりない。早々に気付いたのは不幸中の幸い
 だったというべきだろう。それでも、これを重大インシデントとは捉えず、あっさりジャッキで直してすぐに運転再開し
 てしまうのがThe 中国(笑)。人々のおおらかさとバイタリティを間近で感じることができた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 





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