Memorial GALLERY
2020.09.23
2014.09.23 川原湯温泉駅 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP50(+1)
今回は表紙と連動して、6年前、吾妻線の旧線区間を最後に見送った秋の1コマを出したい。八ッ場ダム工事に伴う新線切り替えのため、岩島−長野原草津口間の 風光明媚な旧線は2014年9月24日をもって運行打ち止め。1週間のバス代行期間を経て10月1日から新たなルートを電車が走ることになる。付け替え道路のお蔭で 廃止間際に色々な俯瞰アングルが登場したが、湘南色115系最後の秘境も間もなく見納めになろうとしていた。
9月に入って業務多忙と天候不順につき、なかなか最終ツアーを組めずにいたが、終焉間際の秋分の日になってようやくチャンスが訪れた。朝から川原湯温泉−長 野原草津口の不動大橋俯瞰で、レンズを変えアングルを変えながら谷間の狭い田んぼの秋の表情を見下ろした。午後は川原湯温泉の交換を撮ろう。今どき原色115系 同士の行き違いですら貴重なのに、それを廃止直前の駅で撮ろうというのだから、これは必然的に負けられない戦いとなる。ならば、悩むのは千載一遇のこの機会を 上から撮るか、下から撮るか。ホーム脇の道路から超望遠で顔並びを狙うのか、建設中の道路橋から俯瞰で狙うのか…。負けられない戦いだけに、葬式鉄や地元民が 乱入しても絵になる空中戦を仕掛けることにした。
14時15分、鉄道模型のように眼下に並ぶ湘南色を広めのペンタ90 で迎え撃つ。
二度と見られぬ光景をフィルムにしっかり焼き付けるべく、幾度もシャッターを切った。間もなく下り電車が先に発車。後に残された上り電車は、 味のある木造駅舎と共に切り取りたい。今度は165oを付けて、こんな感じで構図を決めた。ホームでカメラを手に115系に別れを惜しむ人々も、ここから見れば風景 の一つ。 心穏やかに、谷底の駅に響くMT54のコンプレッサー音に耳を傾けながらレリーズに指をかけた。
Memorial GALLERYへ