Memorial GALLERY


 2019.10.12

2000.10.12 春採−知人 MamiyaM645SUPER SEKOR A150oF2.8 E100VS

20世紀最後の年、大学生だった私は体育の日連休に自主休講をつなげて秋の北海道を訪れていた。一番の目的は、言うまでもなく錦秋の常紋峠を行くDD重連貨物。 石北峠の高速俯瞰から白滝発祥の地、146KPや150KPといった有名どころを回った。だが、北見地方が天気に恵まれなかったこの日は発想を転換。晴れ予報を出してい た釧路に移動し、太平洋炭鉱の石炭輸送専用線を狙ってみることにした。

正式名称「太平洋石炭販売輸送臨港線」は、太平洋炭鉱で採掘された石炭を釧路港まで輸送する、全長4.0kmの貨物専用鉄道である。日本最後の石炭輸送の専用線で あると同時に、先頭に立つアメリカンスタイルのD601、DD13タイプのD301といった魅力的な機関車たち、春採湖畔や太平洋岸を行く専用線とは思えないロケーシ ョンは、この頃から鉄ちゃん魂を渋くくすぐる存在であった。まずは定番、春採湖畔の俯瞰ポイントに三脚を立てる。しかし、予報に反して午前中は雲が多め。湖も 白空を反射して冴えないグレーに染まっている。午後にはサイドに日が回らなくなってしまうため、早めの天候回復を願いつつじっと我慢するしかない。11時頃にな って、ようやく青空が主役になってきた。間もなく青いDLに率いられたホキ編成が登場。ややサイドは弱いが、撮りたかったカットを無事押さえることができた。

この2年後、太平洋炭鉱は閉山したが、その後も地元資本の釧路コールマインが炭鉱の規模を縮小して事業を継承、専用線も本数を減らしながら運行を継続してきた。 だが、2015年に釧路市内に石炭火力発電所を建設して石炭を地元で消費することが決まると、本州や道央への積出港であった釧路港への石炭輸送需要が激減すること になった。そして今年の3月末、来年に控えた発電所の稼働を前に専用線の貨物輸送は終了し、国内唯一の石炭輸送列車は見納めとなってしまったのだった。



Memorial GALLERYへ