Memorial GALLERY


 2018.12.23

2011.12.23 上長瀞−親鼻 NikonF3T AFNikkoe85oF1.4 RVP50(+1)

今や貴重な私鉄電機の牽く貨物列車が見られるということで、7年前の秋から冬にかけて、よく秩父鉄道に通った。この日は紅葉シーズンは終わってしまったが、 低い光線で 冬季限定のダブルパンタを掲げて走るカモレの雄姿を押さえようと上長瀞の鉄橋に出掛けた。 関東平野も北西端に近い秩父は、よく晴れるが同時によく冷える。山々の色味は 消えてしまったものの空はどこまでも青く抜け、河原の水たまりは日中でも氷が張っていた。

夕刻、16時前の貨物をギラギラの光線で撮ってから、ものは試しで線路の反対側に回ってみた。最も日没が南に振っている今の季節なら鉄橋の真裏に太陽が沈むはずである。 上手いタイミングで列車が来れば、見事なシルエットが浮かび上がるだろう。16時10分過ぎ、山入端に夕日がまさに沈もうとするタイミングでデキの重低音が響いてきた。急 な登場にセッティングもままならず、とりあえずD700に標準ズームで1カット。 モニターをチェックするとなかなかいい雰囲気だった。だが、レンズはもう少し長くてもよか ったかも。というわけで、どんどん暗くなっていく中で、敢えてフィルムでリベンジマッチ。旧式のAFNikkor85oF1.4Dでいつ来るとも知れぬ列車を待った。

20分ほどしてやって来た貨物列車を捉えたのがこのカット。上空から徐々に夜闇が地平に降りてくる。「夜の帳が降りる」とはこういう情景のことを言うのだろう。それにし ても、ハイライトの残照にシルエットを抜くとはいえ、ベルビア50のプラ1増感では露出は本当にギリギリだった。 しかもカメラは、何を思ったか趣味で買ったF3Tを投入。 露出計などアテにならない。全ては経験と勘、そして勇気あるのみ。こんな漢気溢れる撮影をしていた頃が懐かしい。



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