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 2018.06.04

2004.06.04 早川−根府川 PENTAX67 smcPENTAX300oF4ED RVP(+1)

5月下旬から7月上旬までの1ヵ月半は、一昔前ならいわゆる“朝練シーズン”というやつだった。 東海道ブルトレが健在だった頃は早川界隈に「銀河」「出雲」 「あさかぜ」を追い、その後は高崎線に「能登」「北陸」「あけぼの」を仕留めに足繁く出掛けた。近年では、本州最難関の中小国に「はまなす」を撮りに通った のも記憶に新しい。 そんな時、極上の光線でスター列車を迎え撃つついでに、前走りのピン電もよく最高条件で頂戴した。そのときは練習用と割り切って気負わず シャッターを切っていたが、時が経って見直すと非常に貴重なカットになっていることも珍しくない。今回はそんなピン電シリーズの中から1枚出してみたい。

2004年シーズンは、人生初めてmy own CAR を手に入れたことから、晴れ予報を見ては東海道朝練に出撃していた。深夜に仕事から帰って、26万円で購入した中古 のボロ軽AZワゴンに機材を放り込み、1号線を西下する。今日のターゲットは昨シーズンから2年越しで狙っている早川入線S字カーブの「出雲」。極まればPF の直流特急色に深紅のマークがひと際よく映える。予報は晴れ、見上げれば漆黒の闇に輝く星空。夜明けとともにスタンバイして列車を待つ。前走りでやってきた のは、サロ付き堂々15連の113系だった。

今見返すと、写っているのは横須賀線仕様の1000番台で、窓周りはオリジナルの白H。国鉄の残り香がかなり色濃く漂うレアな編成だった。そして何よりこの立ち 位置。ホーム端から数十メートルの距離で天下の東海道本線にかぶりつき。 こんな場所でも当局の取り締まりなど特になく、雑誌見開きで作例写真も掲載されてい た。この14年、車両の世代交代もさることながら、社会全体がコンプライアンスという魔物に支配され、ずいぶん息苦しくなってきたように感じるのは私だけではな いだろう。マナーという名のドグマで他者を縛り付け思考停止に陥らせてきたことが、逆に手加減を知らぬ危険な人間を生み出していることに、そろそろ気付かな ければならないのではなかろうか。



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