Memorial GALLERY


 2017.01.29

2000.01.29 雨晴−越中国分 MamiyaM645 1000S SEKOR70oF2.8 RVP(+1)

昨今の被写体枯渇の深刻さは半端ではない。20余年も鉄ちゃんをやっていると大概の有名撮影地は踏破済み。未踏でかつ魅惑のポイントなどはほとんどなく、日本中 残っているのは再履修の宿題ばかり、しかも今さらやっつけても被写体は劣化してかつて取り逃した獲物の縮小再生産に過ぎない…という惨状に陥っている。だが、 そんな中、拡大再生産のために久しぶりに訪れてみたいのがここ氷見線の雨晴海岸である。

17年前の今日は、奇跡の1日と呼ぶに相応しい日であった。移動性高気圧に覆われるという予報を信じて「きたぐに」で高岡に入り、コサカミ氏と合流して雨晴海岸 で御来光から朝のキハをひとしきり撮影。昼から高山本線に移って、サワ座の団臨とDE重連貨物をバリ見えの立山連峰を背に八尾の鉄橋俯瞰で仕留めた。その中の 1枚がこのカット。今や懐かしの、ワインレッドになる前の高岡地方色を纏ったキハ40である。 屏風のように聳える立山連峰の稜線から朝日が顔を出すタイミングで キハのサイドギラリを狙った後、定番中の定番立ち位置で単行のヨンマルを切り取った。

冬場の日本海側というのに雲一つないクリアーな青空とベタ凪の富山湾、そしてすぐ目の前に見える能登半島…。千載一遇の最高条件だった。あぁ、これでキハさえ 国鉄色だったなら!そんな妄想を抱いたのも無理はなかった。だが、あれから幾星霜、妄想は妄想ではなくなった。JR西の経費節減策の単色塗り計画のお蔭で、各 地の電車は全く食えない色に貶められる一方、気動車だけは栄光の国鉄タラコ色が復活してきている。今なら雨晴海岸の絶景にタラコ40も日常の風景。銀縁窓とツル ツル屋根が玉に瑕ではあるが、サイドの目立たないこのアングルで是非昔日のカットの拡大再生産をしてみたいものである。



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