Memorial GALLERY


 2016.03.25

1998.03.25 厚保−湯ノ峠 OLYMPUS OM-1 ZUIKO180oF2.8 RVP(+1)

今でこそ仕事がら毎年のように模試を気にして、センター対策をやって、国公立2次の添削をやって…と受験生のような日々を送っているが、自分が受験生生活を終えた時は、 もう2度とこんなのはご遠慮願いたいと本気で思ったものだった。しかも結果は滑り止めの私大行き。傷心旅行のような心境で18きっぷを握りしめ、カメラ片手に旅に出たの も当然と言えば当然だった。

大垣救済臨で出発し、途中紀勢のDD重連貨物に寄り道して、最後に辿り着いた目的地は美祢線だった。宇部興産の石灰輸送で1日何往復もホキ車を連ねた貨物が行き来して、 往年の賑わいを今に伝える貴重な存在だった同路線。全ての貨物の先頭に単牽きとはいえDDが立つのは、当時としても結構ポイントが高かった。が、そんな貨物王国も来る 3月末日をもって専用道路を経由するトラック輸送に全面切り替えとのことで、石灰輸送最後の輝きを記録すべく、滑り込みで本州西端までやって来たのであった。

この日は、現地で出会ったコサカミ氏と厚保−湯ノ峠の川沿いポイント通称奥畑俯瞰へ。編成は入らないものの、切り位置直下の桜の木がアクセント。あと数日経てば花が開 くのではないかというくらい蕾が膨らみ、季節感を盛り込みたい撮影者に春本番の到来を告げていた。OM−1にベルビアを詰め、180oで列車を切り取る。眩しい午後の光線 に朱いDDが輝いた。当然、次には桜満開のこのアングルを極めたくなるのが人情。しかし、もう3月もあと数日。いい加減入学式に向けて引っ越し準備をしなければならぬ。 後ろ髪を引かれるように、この日の夜の「ムーンライト九州」で彼の地を去ったのだった。聞くところでは、貨物の最終日は桜満開のドバリ晴れ。その一方で、大学の入学式な ど行っても行かなくてもあまり変わりはなかった。今でも後悔するもったいなき青春の1コマである。



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