Memorial GALLERY


 2015.11.23

2003.11.23 海路−吉尾 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1)

ブルトレが消え定期の国鉄特急色が消えた今年、撮るに値する被写体を指折り数えてみると、中小私鉄や第三セクターまで合わせても両の手で足りるほどになってし まった。ましてオールドタイマー仕立ての臨時列車などを除いた定期列車で…というともはや風前の灯火。今後よほどのことがない限り再び訪れることもないであろ う場所もずいぶん増えた。 数年前まで、やれブルトレだ島原だ485「にちりん」だ…とせっせと訪問を重ねていた九州も足が遠のいて久しい。

12年前の勤労感謝の日連休、私は終焉間近の「なは」を追って九州にいた。年に幾度あるかという高気圧直下のバリバリの晴れに恵まれて、米ノ津の前田の丘の俯瞰 で本命を仕留め、肥後二見のSカーブでナナロク貨物を頂戴した。もうお腹は一杯。だが、抜けるような青空は我々を休ませてはくれない。とりあえず何か撮らない と!貧乏根性に急かされるように時刻表と地図を見比べて、ターゲットを肥薩線の急行「くまがわ」に定めた。色こそ青一色だが、球磨川沿いのXアングルで今や貴 重なキハ65は、間合い運用としては不足ない被写体である。

春に桜目当てで訪れた俯瞰場所に三脚を立てる。花をメインにペンタ300で切り取った前回とは趣向を変えて、165oで蛇行する川の全容をフレームイン。 11月下旬とい うのに緑濃い山裾に、川をトレースするように複雑な線形を描く鉄路が遥か遠くまで見渡せた。何度来ても爽快なる絶景なり。ここで国鉄色が撮れたら…なんていう贅 沢はもう言うまい。14時を少し回った頃、ゆっくり眼下に現れたブルーのキハにシャッターを切る。我々は十分過ぎるほどに満足して山を下りた。



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