Memorial GALLERY


 2015.03.08

1998.03.08 西金−下小川 OLYMPUS OM-1 ZUIKO50oF1.4 RDPU

今年も大学受験シーズンが山場を越えた。1月半ばのセンター試験から約1ヵ月半、全国の受験生も受験に関わる大人たちもホッと一息つくところ。18年前、そんな一息つ いた私の元に1通の紙切れが届いた。開封し、無味乾燥な数字の羅列を確認する。が、眼を皿のようにして幾度眺めても、ついにそこに自分の受験番号はなかったのであっ た…。戦いに敗れ私立大学に流れる身となった私は、半ばヤケクソ気味に18きっぷで水郡線を目指した。こうなったら鉄って鉄って鉄り倒してやる! 狙いは、つくば科学博 記念のC56以来十数年ぶりのSL「奥久慈号」。 今回はC58 363が12系を牽くとのこと。非電化ローカルの煙に舌なめずりしながら常磐線の中電に乗り込んだ。

しかし、気合とは裏腹に、浪人生活を終えたばかりの19歳に免許も車もあろうはずはなく、●ヤ情誌の頼りないガイドを見ながら駅からトボトボ歩き鉄。下りは雰囲気の気 に入った西金−下小川の鉄橋でやや後追い気味に撮った。では返しは?せっかく「奥久慈」を名乗る列車だけに、画面に久慈川を配した絵が欲しい。それに、列車の本数を 考えると移動はせずに同じ駅間で勝負したい。というわけで、これまた地図を見ながら歩いていくと、途中に人だかりのできているポイントがあった。道から斜面に降りれ ばアウトカーブの奥に清流の流れ。これはイイ!50oで構図を決めて、周囲の鉄ちゃん諸氏と談笑しながら列車を待った。

午後の日も傾いて、立ち位置の影が少しずつ線路に近づいてきた。早く来い!祈るように念ずると汽笛が一声。今西金を出るようだ。間もなくドラフト音を響かせてファイ ンダーに主役が現れる。が、肝心の煙がスカスカではないか!周りの鉄と懸命に手を振って機関士に必死のアピール。と、これが利いたのか、切り位置直前でようやく煙が たなびいた。X!実はこの場所、後に西金工臨の定番として知られるようになった俯瞰ポイントの崖の下である。震災を経た現在、山肌はコンクリ護岸で固められ、線路際 には柵ができ、ここに昔の面影はほとんどなくなってしまった。



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