Memorial GALLERY


 2013.03.20

1998.03.20 周参見駅 OLYMPUS OM-1 ZUIKO50oF1.4 RDPU

今から十数年前までは、鉄道輸送全盛期に比べれば減ったとはいえ、18きっぷ愛用者御用達の普通夜行列車が各地に残っていた。新大阪発新宮行き2921Mもその一つ。 大学受験を終えて久々の鉄ツアーに出た私は、この列車を定宿に紀勢本線のDD重連貨物3161レを撮ろうと試みた。通過時刻の早いイセカシや大内山には辿りつけない が、紀伊長島以南の撮影地なら始発の普Dで余裕で間に合わせることができる。ツアー初日、臨時大垣夜行9375Mで中京圏に乗り込み名鉄600X区間や関ヶ原近辺の撮影 地を回った後、新大阪からこの夜行の客となった。

深夜の大都会を後にした6連の165系は、梅田貨物線を経由して大阪環状線に入り、天王寺から阪和線を下る。車内は一杯やった後に家路に就くサラリーマンの姿が多く 目につき、夜行列車というよりは最終電車の様相を呈している。 とはいえ、「停車駅は…紀伊田辺、白浜…」というアナウンスを聞くと、いやがうえにも旅の気分が高 揚するというものである。和歌山までに徐々に客が減って来たこともあり、1ボックスを占領して、私はいつしか眠りに落ちていた。

周参見着2時56分。しばしの停車時間を利用してバルブ撮影に勤しむ。紀伊田辺で後3両を切り離してローカル列車然とした姿となった165系が、薄暗い駅の照明に浮か び上がる。何とも幻想的な風景である。周参見発3時17分。本州最南端の串本駅で若干のバカ停があったのは覚えているが、ボックスシートに身を投げ出して眠るうち、 間もなく終点新宮に着くという旨の放送が入る。 3月下旬のこの時期ではまだ車窓は暗闇に包まれている。 しかし、目を凝らして見れば時おりフェニックスらしき木 が目に入り、南国に来たことを実感する。定刻5時10分、新宮に到着。早朝から開いている駅そば屋で腹を満たす。次の紀勢東線の始発は6時05分である。さて、今日は どこで貨物列車を待ち受けようか。時刻表と睨めっこしながら、待合室で今日の予定を立てることにした。



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