Memorial GALLERY


 2013.02.24

1999.02.24 金華−常紋(信) OLYMPUS OM-1 ZUIKO180oF2.8 KR

蒸機時代からの伝説の地常紋峠は、関西からはるばる陸路で訪れた若者に厳しい試練を課してきた。夜行「オホーツク」を北見で降りた我々は、半日分の食糧を仕入 れると、すぐに上りの普Dで峠の入口金華駅へ乗り込む。あとは、鉄道誌で調べた昼の貨物のアングルまでひたすら徒歩でアプローチ。 雪深い線路沿いを、さささ 先輩・ロン隊長と計6つの足跡を付けながら延々と行軍する。 途中、蛇行するW字カーブを見つけた。近くの丘から俯瞰するとカッコ良さそうだ。夢中で斜面を這い 上がり、振り返って皆で驚愕の声を上げた。 これぞ羊腸の路を行く「常紋峠」を体現した情景。思わずここを行くデーデーの姿が脳内に浮かんだ。後に、我々はここ がいわゆる150kpという有名ポイントであることを知ることになる。

駅から8q、昼前にようやく定番146kpに到着。ズラリと並ぶペンタ400の砲列に遠慮しながらOMの180oを構える。だが無情にもこの日は通過前から猛烈に吹雪いて 絵にならず。往復約6時間のスノートレッキングは壮大な空振りに終わった。空腹を抱えて無人の木造駅舎に帰還し、朝買った弁当を広げるも、氷りついたご飯に細い 割り箸は力なく折れた。

翌日は晴れ予報。 ロン隊長の提案でレンタを出すことになり、朝から奥白滝のオーバークロス、146kpと効率よく回って、午後から150kpに登った。OM180oでW字の 線形がきれいに収まる。西の空に雲はない。全開露出で準備を整えた。15時過ぎ、山間を揺るがす咆哮が聞こえてきた。DD重連が全力で急勾配に喘ぐ声。音は少しづつ 近付けど、その主はなかなか姿を現さない。やがて、ギャラリーを焦らせるだけ焦らして、うねる鉄路の奥から歩くような速度で2灯のライトが登場した。これまで長く 線路際にDDの勇姿を追ってきたが、私はこのときほど雄々しく猛る機関車の姿を他に知らない。常紋峠は、蒸機が消えた後もやはり伝説であり続けたのであった。



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