Memorial GALLERY


   2012.10.16

2003.10.16 大金駅
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つい先日、只見線会津坂下−会津川口間に残っていたタブレット閉塞が終焉を迎えた。3月の久留里線に続いての自動化で、これによりついにJR線上から タブレットを交換する光景が見られなくなってしまった。

思い返せば、私がカメラを持って線路際に立ち始めたのが90年代半ば。いわゆる赤字ローカル線の多くはすでに廃止され、合理化の名の下に “国鉄”の香り が急速に消されつつある時代だった。だが、行動力の乏しかった高校生の身では因美線の急行「砂丘」のタブキャッチも八高線のタブレットも、ただただ雑誌 の誌面で眺めることしかできなかった。

時は流れて2003年、関東近郊の烏山線で開業80周年を記念してキハ40のタラコ色が復活した。同線では大金−烏山間でスタフ閉塞を行っている。タブレット ではないものの、キャリアを受け渡しするシーンが見られるはずだ。かつて撮りたくても撮れなかったシチュエーションを頭に描いて現地に向かった。 15時 過ぎ、下校する小学生が列を作るホームに朱色のキハ40を先頭にした2両編成がゆっくりと滑り込む。停止するとすぐに、列車を出迎えた助役にキャリアが 手渡される。人の手から人の手へ、安全の証が引き継がれる瞬間を切り取った。



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