Memorial GALLERY


 2012.09.09

2007.09.09 中根−金上 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1)

1枚の田んぼを写し込むだけで、季節の移ろいが伝わる。春の水鏡、初夏の田植え、夏の青田、そして秋の黄金色に染まった稲穂とはさ掛け…鉄道写真の 背景にはやっぱり田んぼだな、と思う。とはいえ、季節というヤツは意外と厄介で、来ると見せかけて待つ者を焦らし、焦らすと見せかけて全力で目の前 を走り過ぎる。たわわに実った稲穂も、時期を逸するとすぐに刈り取られてしまう。

この日は突発の青空に急遽出撃を決め、ロクに運用も調べないで茨城交通(現ひたちなか海浜鉄道)に乗り込んだ。いざ現地入りしてみると、当日の私は 相当運が良かったらしい。田んぼはまさに刈り入れ直前、車両もお目当てのキハ205が動いていた。奥行きが出るように、ちょっとハイアングルでセッティ ング。黄色と青の原色の世界に、国鉄色ツートンがきれいに収まった。

翌2008年から、茨城交通湊線は第3セクターのひたちなか海浜鉄道に生まれ変わった。心配されたキハの塗装は、変に色気を出さずに国鉄色を堅持して我 々も一安心。 時折旧型気動車の予告登板イベントも行われ、人気を博していた。だが、昨年の東日本大震災では築堤が崩れるなど甚大な被害を受けた。路 線の存続は?キハ20の命運は…? 大いに気を揉んだが、それでも約4ヵ月後には全線で運行を再開。今年もつい先月末に旧型気動車祭りが行われた。アン グルが乏しいのが玉に疵ではあるけれど、これからも残り少ない国鉄キハの聖地として、同線に注目していきたい。



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