Memorial GALLERY


 2012.01.20

1999.01.20 多気−徳和 MamiyaM645 1000S SEKOR150oF3.5N RVP(+1)

昔から有名な紀勢本線の定番撮影地、多気−徳和の櫛田川橋梁の背後にきれいな二等辺三角形の山がある。この頂上付近には一条寺という寺院があり、そ の参道から杉林に分け入るとこの鉄橋を見下ろすことができた。1980年代には結構有名なポイントだったようで、キハ82末期の「南紀」の写真がよく雑誌 に掲載されていた。だが、その頃前のめりな人物が杉の木を少々オイタしたらしく、私が撮影に興じるようになった頃には、「機材を持って山に上がると 和尚から炎のお説教を頂戴する」と恐れられ、通称“和尚山”と呼び習わされるようになっていた。

でも、キハ82「南紀」引退から5年近く、そろそろほとぼりも冷めただろう。いっちょこのアングルを極めてみたい。伊勢臨撮影で紀勢を訪れた1999年1 月、私は恐る恐る禁断のこの山に足を踏み入れてみた。石段を上がり、九十九折りになった砂利道を歩く。頂上近くで左手の杉林の合間から川面が見えて きた。この辺か?林に踏み入り斜面を下りると、木と木の間から視界が開けた。おぉ、アングルはまだ生きていた!

マミヤの150oで構えると、まるで模型のように見える鉄橋がピタリと画面に収まる。スバラシイ!キハ82は既にないとはいえ、当時の紀勢では原色キハ 58がまだまだ現役。光線が良くなる午後一杯、住職に見つからないよう息を潜めて、ゴッパ・ニッパが来る度にシャッターを切った。最後は17時台、日照 限界ギリギリのエロ光線を受けて橋の上に現れた3連を、1/250secというギリギリ露出で戴く。X!だが、納得のラストショットに意気揚々と撤収を開始 したその途端、すっかり失念していたワカ座の伊勢臨がコテコテの夕日を浴びて現れた Σ( ̄□ ̄lll)。以来幾度かこの場所に足を運んだが、 ここまでの条件には一度も恵まれないまま、樹木の生長によりこのアングルは過去のものになってしまったのであった。



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