Memorial GALLERY
2011.05.13
1999.05.13 東美浜−美浜 MamiyaM645 1000s SEKOR150oF3.5N RVP(+1)
先日の連休にひょんなことから小浜線沿いの国道27号を走ることになった。 十村−大鳥羽、上中−若狭有田、加斗−勢浜…ナビの画面で懐かしい駅名を目にする度に、 かつて非電化時代に若狭湾沿いにキハを追った記憶が甦ってきた。当時のターゲットは金沢の原色ゴッパが登板していた急行「わかさ」とその間合い運用、それに色こ そ敦賀色になっていたものの形式自体が消滅寸前になっていた虎の子キハ53。あとは年に数回入線するマヤ検が注目の的だった。
この日は福知山から敦賀への検測があるとの情報をキャッチした。天気は晴れ予報。前々から目を付けていた東美浜の大俯瞰にアタックすべく、始発電車で京都を出た。 米原回りで無人の東美浜駅に降り立ち、すぐ西側の山へ林道伝いに上がって行く。昔は車で直付けできたというこのポイントも、採石場が廃墟となった今では、草蒸し、 所々崩落した九十九折りのダートを気合いで上るしかない。小1時間は歩いたろうか、左手の視界が開ける。ここだ!やや霞んでいるとはいえ、眼下に広がる景色は新 緑に水鏡。薫風薫る皐月の田園風景の向こうには、若狭湾の海岸線が弧を描いていた。
あれから十数年、小浜線は全線電化されてステンレスの電車が行き来するようになり、背後のモヒカンハゲだった丘には27号のバイパスが出来た。原発マネーの恩恵で 線路の周辺は隔世の感があったが、それでも沿線の町の風情は以前と変わっていなかった。昨今の原発事故を機に俄かにその危険性が心配されるようになった若狭地 方。もう小浜線を撮ることはないだろうが、この長閑な光景がいつまでも続くことを願わずにはいられない。
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