Memorial GALLERY


 2011.03.11

1996.03.11 大川駅 OLYMPUS OM-1 ZUIKO100oF2.8 RDU(+1)

京浜工業地帯の一角を縫うようにして走る鶴見線から褐色の古武士が姿を消してもう15年になる。中学時代から120円きっぷ (当時) の大回り乗車の旅で 度々お世話になっていた旧型国電の引退と聞いてじっとしていられなくなり、末期には高校生とは思えぬ頻度で現地に足を運んでいた。 とはいえ、すで に大川支線に閉じ込められて朝夕にしか運用がなかったため、アングルはごく僅か。武蔵白石を出て急カーブを切った後の直線区間、運河を渡るプレー トガーターのサイド撃ち、構内踏切からの大川駅入線…くらいしかバリエーションはなかった。工場立ち並ぶ殺風景な中では季節の彩りもほとんどなし。 スナップという秘技を知らなかった私は、雪景色や夜間のバルブ撮影でバリエーションを増やすしかなかった。

学年末試験も終わったこの日は、修学旅行の事前打ち合わせだけで午後早くには放課になった。よし、行くぞ! 密かに駅のコインロッカーに潜ませていた 機材をピックアップし、総武快速〜横須賀線で鶴見線を目指す。夕方には現地入りして、日もとっぷり沈んだ頃に大川駅に辿り着いた。以前はホキがゴロ ゴロ常駐していた構内も、今や使われない側線が空しく広がるばかり。そこに佇む御歳65才のオールドタイマーの窓からは、ほの暖かい白熱灯のオレンジ 光が漏れていた。
手元の記録を見ると、この次の日に運河を渡るシーンを、3日後に武蔵白石駅のバルブを撮りに行っている。何ともマメなことで…(笑)。だが、ダイヤ改 正前日の15日から我々は九州の修学旅行に出発。ラストランを見送れぬまま、青春の憧れだった旧型国電は営業運転から退いたのだった。



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