Memorial GALLERY
2010.09.13
2003.09.13 江ノ島−腰越 PENTAX67 smcPENTAX165oF2.8 RVP(+1)
子供の頃、無性に江ノ電が好きだった。レトロで渋い 300形からモダンな1000形まで個性的な車両群、古い街並みあり、海岸線あり、併用軌道ありの変化に富んだ車窓、 そして何より湘南の垢抜けた雰囲気に、千葉のボロ男子校の少年は憧れていたようだ。 地元の図書館で借りてきた吉川文夫編著『江ノ電讃歌』(大正出版)は座右の書と なり、何度も眺め、読み返した。お陰でしょっちゅう返却期限の督促状が来る。図書館のブラックリストに私の名前があったとすれば、恐らくこの本が原因だったに違い ない(笑)。
そんな江ノ電の近くに、社会人になってからの数年間住んだことがあった。京急富岡の会社の寮からは、京急〜横須賀線を乗り継いで逗子経由で鎌倉まで30分。行こう と思えばいつでも行ける距離だった。しかし、皮肉なもので当時は消えゆく国鉄型にすっかり興味の対象が移っており、名車 500形が終焉を迎える時期だったにもかか わらず、現地を訪れたのは僅か数回だけ。今回の“チョコ電”304Fはその中の貴重な1カットである。
この日は67U導入により夏の間休車中だった初代バケペンの訓練運転のため、昼前からフラッと江ノ電を訪れた。Uの調子がイマイチだったことから秋の鉄戦線に初 代を投入しようと復活を検討していたのである。だが、独特な儀式の多い中判で併用軌道を狙うのは無謀だった。列車が見えてから「さぁ!」とフィルムを巻き上げる も、突然のチャリ被りや自動車併走でシャッター切れず…なんてこともたびたび(泣)。無駄ゴマもずいぶん切った。それでも仕上がりはバッチリ。以後無事にバケペン は本線復帰を果たし、主力機に返り咲いて今に至る。一方のバケUはピント不良頻発で運用を外れ、翌月市場に旅立っていったのだった。
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