Memorial GALLERY


 2009.05.25

2001.05.25 河野原円心−苔縄 MamiyaM645SUPER SEKOR210oF4N RVP(+1)

山陰特急の大部分が新型に置き換えられた後、原色キハ181最後の活躍の場となったのが陰陽連絡特急「いなば」だった。三セク区間の上 郡−智頭間は、コンクリ橋とトンネルが中心とはいえ随所に雄大な俯瞰や表情豊かな田園風景が残されており、季節感溢れる絵を作るには 格好の舞台。電車利用の撮影行でも日帰り圏内という手軽さもあって、京都に住んでいた学生時代には度々この地を訪れたものだった。

お気に入りの季節は、田んぼが緑のカーペットになる夏場と、金色の稲穂に畦道の曼珠沙華が鮮やかな初秋。4・5月には時折集約臨を兼 ねた1〜3両の増結があり、そんな日は晴れを願って予報を見ながらよく一喜一憂していた。1日3往復の「いなば」は、午前中は石井や 平福、午後からは河野原円心が定番の撮影地。中でも河野原円心の俯瞰からの“千種川をバックに行く「いなば3号」の図”は同線を代表 する名シーンであった。

この日は増結6連と晴れが重なった。「いなば2号」を石井−平福の築堤で押さえ、満を持して河野原円心に移動。無人の高架駅を降り、 嘉吉の乱で知られる赤松氏ゆかりの円心寺の裏山に登る。高度を稼ぐと、眼下に智頭急の大築堤が見えてきた。そろそろ田んぼに水が入る 頃かと踏んでいたが、入り具合は後一歩。それでも、バックの山肌とそれを映す川面の深緑が美しい。背後が暗い色であるほどに国鉄特急 色は鮮やかに浮かび上がるはずだ。15時過ぎ、堂々6連のキハ181がターボサウンドを響かせてファインダーに現れた。



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