Memorial GALLERY


 2008.08.25

1999.08.25 茂林寺−川俣 OLYMPUS OM-1 ZUIKO50oF1.4 KR

大学2回生の夏、2週間にわたる久大合宿を終えて京都に愛車のカブ号を置くと、今度は18きっぷ片手に「ムーンライトながら」で千葉の 実家へ向かった。久しぶりの帰省は当然鉄目的。当時恒例だったRM誌の“今なお現役”特集では、90年代末期から数年間、東武の貨物が 毎年のように誌面を賑わせていた。首都圏の大手私鉄でオリジナルの重連電機が1日数往復の貨物を牽引、しかも首都圏とはいえ長閑な田 園風景の広がるロケーションである。これまで見落としていた方が不思議なくらいだった。いよいよ最後の夏との風の噂に、遅すぎる初訪 問を果たすことにした。

1発目は撮影地ガイドに載っていた茂林寺の築堤へ。周囲にそぐわぬ10両編成のステンレスお電車で田舎の小駅に降り立つと、真っ青な夏 空とセミの大合唱がゲバを担いだ珍客を迎えてくれた。まだマミヤとOMしか持っていなかったこの頃、軽量装備は歩き鉄をするにも楽 だったものである。住宅地の間を抜けて徒歩数分で撮影地。早速ハスキー全開でレール面が見えるまで高さを稼ぎ、標準レンズで田んぼと 青空を取り込んで構図を組んだ。

何本かの通勤電車で編成長を確認した後、突然ヤツはやってきた。先ほどまでの電車群とは明らかに異なる吊り掛けモーターの重低音。ぶ どう色を纏った小型電機は、愛らしい姿に不釣合いな大型パンタを振りかざし、2両がかりでタンク車11両をエスコート。ファインダーに 現れた夢のような光景は、一瞬のシャッターチャンスの後、軽やかな貨車のジョイント音を残してあっという間に消え去ってしまった。あ れから9年、東武貨物は伝説となってはや5年の月日が経とうとしている。



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