Memorial GALLERY


     2007.08.03

1995.08.03 銀山−然別
 OLYMPUS OM−1 Tokina70-210oF4-5.6 RDU(+1)

サイト開設1年目の今年、8月3日のメモリアルギャラリーは絶対このカットで飾ろうと考えていた。216.7KPの「C62ニセコ」。それは私 にとって、高校2年の夏、初めて撮り鉄に目覚めた忘れられない1枚なのである。

少ない機材にショボいゲバ、それにたった4本のフィルムを握り締め、周遊券片手に北の大地へ旅立ったのが7月末。この時期なら2週間 の滞在でラストイヤーのシロクニを2度拝むことができる。だが、渡道2日目の7月30日はとんでもない大雨に見舞われ苦しい撮影行とな ってしまった。次の運転まで何をするか。9月限りで廃線の深名線探訪か、はたまた風光明媚な道東巡りか…そんな思案をしていると、撮 影地で出会った鉄ちゃんから8月3日に「ニセコ」の臨時運行があるらしいとの報を得た。これで行動予定は決まり!2日の夜、札幌から 快速「ミッドナイト」に乗り、翌朝長万部下車。山線始発のキハ56「マリンライナー」で稲穂峠を目指した。天気はバリ晴れ!! 銀山駅から 徒歩4qの道のりは、ここが北海道であることを忘れさせるような灼熱地獄だった。

雑誌等で幾度も目にした「白樺バックのSカーブ」は早くも黒山の人だかりとなっていた。たまたま1箇所空いていたビデオの後ろに脚を 立てさせてもらう。ズームを210oに伸ばしてタテ位置でセッティング。露出はRDUの1段増感で500の8、やや絞りめでいざ勝負!時計 の針は10時半を回った。遠くでカマの咆哮が響くと、地鳴りの如きブラスト音がかすかに耳に届いてきた。しかし音の主はまだ見えない。 地鳴りはジワリジワリと大きくなり、やがてそれが頂点に達したかと思われた瞬間、漆黒の巨体が林の陰からその姿を現した。煙突からは 黒煙がもうもうと立ち上り、鋭い金属音が耳を劈くかのように轟きわたる。たった1枚のシャッターを夢中で切り終えてファインダーから 目を離すと、あとには軽やかなジョイント音と石炭の匂いだけが残されていた。鳥肌が立った。しばしその場に立ち尽くし、動くことがで きなかった。以来十数年、これ以上にカッコイイ鉄道情景を、私は未だ知らない。



Memorial GALLERYへ